こんにちは。
長らくお待たせしました、「量り売りショップ潜在需要調査」の集計結果、後篇です。
前回分はこちら。
とかいいながらすみません、まだ記載は途中です! 一応完成しました〜。
空き時間を探して少しずつ書き進めている現状なので、書きあがりを待っていたらさらにお待たせしてしまう……ということで、ひとまず書けたところから順次共有させて下さい。
それでは今回も、前回同様309名分の集計結果にみていきましょう~
量り売りでは何を買いたい?
さて。
以前にもお話しした通り、「量り売り」というのはひとつの販売の方式に過ぎません。
「量り売りを利用したい!」と言ったとき、多くの人は実際のところ「何を」買いたいと思っているのか?
今回はまず、そのへんから掘り下げていこうと思います。
「量り売りで購入したい商品は?」という質問への回答は、以下のような結果になりました。
調味料類 220票、洗剤類 214票、シャンプー類 202票と、上位3項目は液体を含む品目。
量り売り事業の第一弾としてエコストアの洗剤を選択したナチュラルローソンは、さすがなのかもしれない。。
と、これを見てちょっと思いました。
量り売りをの利点として詰め替えの手間が省けるという点を挙げていた方もいましたし、確かに、詰め替え用とか売るくらいなら、直接ボトルに詰めさせてくれる方が無駄がない感じがしますね。
4位以下は、乾物 192票、ナッツ 187票、茶葉 185票、お菓子 183票、コーヒー豆 176票、穀物(米以外) 173票、ドライフルーツ 167票、米 166票と、乾きものの食品が続きます。(そういう選択肢なんで当然なんですけど苦笑)
石けんは176票で8位。
そして梅干し、お漬物 121票、飲み物(アルコール、ソフトドリンク含む) 110票と続きます。
下位の人数をみてお察しの方も多いかと思いますが、この質問、全選択に近い勢いで複数項目にチェックを入れていた方がとても多かったです。
可能ならばありとあらゆるものを量り売りで買いたい! という思いがあふれていますね。(わかる)
また、やはり「日常的に使うもの」が人気だなぁ、とも感じました。
そして、その他にチェックを入れた方は58名。
内訳は、野菜 16票、果物 8票、肉 5票、豆腐 4票、麺類 4票、魚 3票、惣菜 3票、パン 2票、コスメ・スキンケア用品 2票、小麦粉 2票。
1票ずつ回答があったのは、バター、牛乳、きのこ、歯磨き粉、マウスウォッシュペットフード、ペット用品、つまようじ・画鋲・ヘアピンなどの小物、エッセンシャル、浄水用の備長炭、市販薬。
このへんは、「項目があったら票入れたのに!」というものもあるかと思いますので、数字はまぁ参考値です。
とはいえ、生鮮食品など、やはり日常的に頻繁に購入するものほどニーズが高い傾向はありそうですね。
というわけで、幅広い商品に対して量り売りのニーズがあることはわかりました。
それでは、こういった商品がもしも量り売りで購入できたら、それは消費行動に変化をもたらすのか?
現在既に量り売り店を営まれていたり、これから開業を考えている以外の、ごく一般的な事業者さんにも興味を持ってもらうためには、「量り売りは集客や売り上げアップに繋がるのか?」というのは、とても重要なポイントだと思います。
そんなことを考え、今回はもう2つ、商品に関連したことを伺ってみました。
1. 量り売りは購買のきっかけになるか?
まずひとつめ。
パッケージフリーな商品購入の経験がおありの方に、「実際に、量り売りで買えることが購入動機となった商品があれば教えて下さい」とお願いしました。
結果、89名の方が回答下さり、実に36個もの品目が挙がりました。(このへん、分類の仕方にもよるので数は参考程度ね)
以下、票数の多かったものから結果を見ていきましょう。
ドライフルーツ、洗剤 各13票
同率1位は対照的な2項目。
ドライフルーツは日常的に食べる方は少ないかもしれませんが、他の商品に比べると、比較的量り売りでお見掛けする機会が多い印象があります。
東宝シネマでチョコやドライフルーツが量り売りで販売されており、色々な種類のお菓子を少しずつ選べたのがとても良かった。
というご意見にあるように、少量ずつ色々な種類を試せることに背中を押されて購入した方が多かったようでした。
一方、洗剤の量り売りはまだまだ少ないですね。
今回具体的に名前が挙がったのは、 エコストアと松の力。
松の力は現在、えがおの力と名前を変えて販売されています。
私も、量り売りのお店で見かけて購入したことがあるのですが、原液を好みの濃度に薄めて使うことで、家庭用のあらゆる用途に対応できるという無駄のないコンセプトは、ものやごみを減らしたいミニマル志向の人間にはありがたいなぁ、と感じました。(このへんの使用感は、マジックソープにも通じますね)
個人購入でも、空袋を返送すれば再充填の対応をしてくれるなど、環境負荷低減のために独自の取り組みをされていて、中々興味深い製造者さんです。
ナッツ 11票、コーヒー豆 8票、お菓子 8票
この辺もやはり、量り売りでの取り扱いがまだしも見つけやすい商品たち、という感じですね。
少量ずつ味見できる、色々な種類を試せるという利点は、嗜好品とよくなじむものだとも感じます。
ちなみにお菓子は、具体的にはチョコレートが5票と圧倒的でした。
チョコの量り売り……ちょっと行ってみたいぞ。
調味料 8票、米 7票、豆 7票、茶葉 6票
今度は打って変わって、昔ながらのお台所が目に浮かぶラインナップ。
実際の購入場所も、「農協」「商店街」など、昔ながらの買い物風景を思わせる並びでした。
調味料で多かったのはお味噌の5票。
色々な種類をブレンドして使ったり、メニューに合わせて少量だけほしいお味噌があったり、という時に重宝するとのことでした。
また、「たまたま量り売りで見かけたソースが、普段スーパーで買うものよりも安かったので購入してみた」という声も。
お米の量り売りをしてくれるのは、精米所が多いようですね。
パッケージフリーで買えるからと購入した後に、精米したての美味しさに魅了されて以後リピートしている、という方もいらっしゃいました。
また、お豆もお茶も、パッケージフリーなお買い物を求めていて、結果的に昔ながらの乾物屋さんやお茶屋さんに辿り着いたという声が散見されました。
本集計の前篇で、「容器持参に対応している店舗は、もっとわかりやすくそのことを表示してほしい」という声があったことをお伝えしましたが。
こういった表示は購入者側に便利なだけでなく、個人商店さんにとってもやっぱり、新規顧客開拓のチャンスになりそうな気がしますね。
石けん 5票、お肉 4票、食料品各種 3票
続いて5票を集めたのは石けん。
具体例としては、シャンプーバーなどを販売しているLUSHの名前が挙がりました。
そしてお肉は4票。
料理に合わせて必要な量だけ、料理に適したかたちで購入できるという利点にもふれられていました。
次いで3票を集めたのは、野菜、果物、豆腐、油揚げ、アルコール、そしてハーブやスパイスなどの香辛料。
これまた、個人商店でのお買い物風景が浮かびますね。
香辛料はこの質問に限らず、「少量で買えると購入に踏み切りやすい」という自由記載が目につきました。
一度に使う量が少なく使い切るのが難しい。好みに合うかわからない。といった悩みが付きまといがちな商品ですものね。
その他 少数票
残りの少数票については、票数毎に列挙します。
2票
お惣菜、穀物(お米以外)、シリアル、パスタ、乾物、大豆ミート、はちみつ
シリアルを挙げたうちのお一方は、前回もご紹介した、パッケージがないだけで40%も安かったという破格の有機オートミールを手に入れた方です。
そんなん遭遇したら私も買ってまう……
そして、個人的にほほう、と思ったのは大豆ミート。
オーガニックや菜食を選択しようとすると、パッケージごみが多くなってしまう……という矛盾に悩む声をよく耳にするので、これは多くの方に喜ばれるのではないでしょうか。
1票
シャンプー類、備長炭、米ぬか、豆乳、小麦粉、ハム、パン、マグロのアラ、オリーブオイル、ピーナッツバター、アーモンドペースト、ナッツのしぼりたてオイル、ジンジャーエールの素
ここらへんにくると、「そんなのも量り売りあるの?!」というものもチラホラ。
フランスなんかだと、ペットフードの取り扱いもあったりするらしいですしね。
小麦粉は正確には「オーガニック古代小麦粉」と記載下さっていて、そんなものをお取り扱いしている時点で何だか特別なお店という感じがします……
うーん、気になる。
2. 量り売りで購買意欲は高まるか?
で。
今度は品物に関係したもうひとつの質問です。
先の質問は、そもそも量り売りでの購入機会がある商品に限られた結果でした。
では、現状は量り売りで購入する機会がないけれど、「量り売りをしてくれれば購入したい、あるいは購入機会を増やしたい」と思う商品はあるか?
「量り売りで買いたいもの」と大差ない結果になるかもなぁ、なんてことも思いつつ、これまた自由回答で伺い。
結果、181名の方がご回答下さり、59個もの品目が上がりました。(白目)
さて、いっぱいあるからサクサクいきますよ!!
調味料 50票、洗剤 44票、シャンプー類 36票
出ました!
やはり上位は、普段使いの消耗品3種です。
調味料は「調味料全般」と力強くと書いて下さった方が最多。
具体的に記載されていた品目は、味噌 21票、砂糖 5票、醤油 4票、塩 3票、みりん 2票、お酢・ケチャップ、粉末だし各1票でした。
お味噌が飛び抜けて多かった一因としては、調味料の中で比較的賞味期限が短い、という点があるようです。
冷蔵庫で賞味期限切れになる事が多いので、少量購入できる量り売りが嬉しい
また、お醤油などについては、井上古式じょうゆ、海の精といったこだわりの品が挙げられていた他、大手メーカーのごく一般的な商品に対するニーズも寄せられました。
キッコーマン、ミツカン、味の素、ヒガシマルなどの大手の醤油、ポン酢、粉末だし等
また、現代の調味料販売でよく見るプラ容器に辟易しているんだろうな、と伝わってくる回答も。
しょうゆ(沢山使うのと、市販の瓶入りだと少なくて高いのです)
今やスーパーに行くと、リターナブル瓶はもちろんのこと、普通の瓶入りすら、見つけるのは一苦労です。
少量の刺身醤油などはまだ瓶入りも見かけますが、それもワンウェイだとかえって環境負荷が高くなってしまいそうだし、悩ましいばかりですね。やれやれ。
そして洗剤については、大きく分けると
- 普段使いの、環境志向の商品
- 普段使いの、一般的な大手メーカーの洗剤(具体例として挙がっていたのはJOY)
- 普段は出番の少ない、洗浄力の強いもの(必要時に必要分だけ購入したい)
といったニーズがあるようでした。
環境志向の商品としてまず出てきたのはエコストア (
票)。
こちらは既に量り売りも行っていますが、近くに対応店舗がないのでもっと幅広く展開してほしい、という声が寄せられていました。
他には、シャボン玉石けん(3票)、洗濯洗剤 海へ…(1票)。
個人的に、海へ…という商品は今回はじめて知ったので、商品情報を大変興味深く拝見しました。(海洋タンカーの事故処理研究から誕生した、すすぎ要らずの洗剤で、生分解性も高く環境負荷が低い組成とのこと……気になる!!)
シャンプー類については、コスメキッチンで取り扱いのあるものを量り売りで購入したい。
色々なものを試供品サイズで少量試してみたい、といった声が上がっていました。
また、輸送負荷に配慮したこんなアイディアも。
できれば固形にして、自宅で水に溶いて使う形にしてくれると尚購入意欲がわきます。
実際、液体洗剤は水分が多いので、濃縮したり粉にすることにはパッケージを小型化できたり、輸送負荷を低減できる利点があります。
注意すべきは、湿気予防などの品質保持に却ってコストがかからないか? というあたりへの目配りでしょうか。
どこかの国で、水に溶いて使う粉のハンドソープが出たというニュースを以前見た気がするんだけど、どこだったかなぁ……
食品、日用消耗品
以下は10項目以上にわたって、ずらりと食品が連なりました。
票数毎に列記します。
23票 野菜
18票 お菓子
具体的に記載があったのはカントリーマアム、ミンティア、BIOスナック。
また、不揃いや割れが不良品扱いになるなら、はじめから不揃いなおせんべいとか作っちゃえばえんちゃう? といったご意見もありました。
17票 ナッツ
15票 豆腐
14票 乾物(昆布、乾燥わかめ、ひじき、海苔、鰹節、干し椎茸、干瓢、切り干し大根など)
12票 香辛料(スパイス、ハーブなど)
11票 米、シリアル(グラノーラ、オートミールなど)
10票 肉、茶葉、穀物、粉類(小麦粉、米粉、片栗粉など)
9票 調理油(オリーブオイルが6票と人気でした)、豆、乾麺、ソフトドリンク、石けん
ここで久々に食品以外のもの、石けんが登場しました。
ソフトドリンクについての具体的な要望は、「炭酸飲料を買いたい」というものと、「出先でマイボトルに詰められたらうれしい」というものがありました。
ここ1年ほどでマイボトルもだいぶ浸透してきた感じがありますし、通りすがりの飲食店や小売店でジュースやお茶をリフィル量り売りしてもらえたら、夏場とかはかなり買っちゃいそうですね。(個人的には、冬場の乾燥も苦手なのでぜひ冬も……)
また、ペットボトルごみがぐっと減りそうなこんなご意見も。
自販機が、マイボトルを定位置に置くとサイズなど測定して自動的に一定の量でとまり、値段も計算してくれるようなものがあるといいなと思う。
これ、以前からTwitterでも時々つぶやいているのですが、「自動販売機 マイボトル」で検索すると、2014年時点くらいで既にマイボトル対応自販機は実用化されているんですよね。
技術的には既に可能なはずなので、何かもう一押し、大きなきっかけがあればぐっと進みそうな気がするのですが。。
このへん、もどかしい思いをしている人も少なからずいらっしゃるんだろうなぁ。
さて、小休止(そうだったの?)はこの辺にして、続きもどんどん行きましょう。
8票 果物、ドライフルーツ
奇跡的な並び。笑
7票 コーヒー豆
具体名が挙がっていたのは、カルディのバードフレンドリーコーヒー。
持参容器でお願いしたら断られてしまったとのことで、せっかく勇気を出したのに悲しかったですね。
カルディは、容器持参に対応してもらったという声も耳にしたことがあるのですが、私もいまだ持ち込み容器を受け入れてくれる店舗は発掘できていません。
6票 アルコール、重曹・クエン酸・セスキ、乳製品(チーズ、ヨーグルト、バター、牛乳など)
ご指名があったのは木曽路物産の重曹とクエン酸。
そしてよつ葉バターでした。(オンラインショップあったんや……)
5票 はちみつ、豆乳、スキンケア用品
4票 卵、お惣菜、歯磨き粉
歯磨き粉については詳しく解説下さった方がいらっしゃったので、そのまま引用させて頂きますね。
① 歯磨き粉のチューブは普通のプラスチックよりもさらに分解に時間がかかるという。衛生的観点からラミネートという加工が施されているため。
② 歯磨き粉自体にもマイクロプラスチックが入っている。
→ Lushで販売しているような固形の歯磨き粉なら量り売りでも販売可能なのではないだろうか。
ていうか、固形の歯磨き粉なんてあるんすね……
めっちゃ勉強になります。
私は今のところ、「チューブよりなんぼかマシかな?」と思って、こちらの粉状の歯磨き粉を空き瓶に詰めて使ってますが……
言うてもこれも中々にしっかりした袋なのですよ。
タブレット式がもっと簡易な容器やパッケージフリーで購入できるようになったら、確かにそっちの方が相当魅力的だなぁ。
3票 魚、納豆、漬物・梅干し、ボディソープ、ボディケア用品、入浴剤
ボディケア用品やシャンプー類、この後出てくるコスメの類については、自分に合っているか少量のお試しで確認した上で、気に入ったものを選べるから。といった理由で、量り売りに期待する声がありました。
確かに、この手の商品ではむしろ、きちんと使いきれている人の方が少数派なのでは……? という雰囲気すら漂っていますものね。
具体的にご指名があったのはハンドクリーム(Nivea Soft)とロクシタン。
ロクシタンは容器の自主回収などにも取り組んでいて、ある程度環境問題には前向きなイメージがあるので、ぜひご活躍を期待したいですね。(※ 2020年10月6日現在は、新型コロナ感染予防対策のため、回収サービスは一時中止しているとのこと)
2票 きのこ、茶葉、コスメ、サプリメント
サプリメントを挙げた内のおひとりは、実際にメーカーに問い合わせてもみた内容についても情報共有下さいました。
サプリメントが量り売りだとイイんですが。メーカーに問い合わせたら、安全性と衛生を考慮してワンウェイにしているとのこと。今のところ厳しいようでした。
医薬品に準ずるものは、品質管理の基準や法的な規制も食品とはまた違うので、一段とシビアなところがあるかもしれませんね。
1票 キムチ、酒粕・麹、ウィンナーなどの加工食品、ふりかけ、アイスクリーム、メープルシロップ、アガヴェシロップ、ココナッツオイル、ジャム、ピーナッツバター、ヌテラ、麦茶パック、シャープペンの芯、ヘアワックス、ペットフード
1票の項目はさすがのバラエティー。
ウィンナーを挙げて下さった方は、現在は使い切れないため買わないようにしているとのことで、同様の理由で購買に繋がらなかった商品は色々あるんでしょうね。
というかたぶん、ゼロ・ウェイストにチャレンジしている方のほとんどは、こういう理由で久しく買ってない商品が山ほどあるのでは。。
また、品目ではなく、オーガニック、グルテンフリーと言ったキーワードを記載下さった方もいました。
これも、オーガニック商品を選ぶか、パッケージフリーを選ぶか……という二者択一を迫られることの多い現状を反映しているのでしょうね。
量り売りのための容器販売ってありですか?(10/7追記)
そしてこちらも、個人的に気になっていたのでアンケートに含めた項目。
これまで見かけた数少ない量り売りコーナーでは、専用容器の購入を義務付けているところもありました。
規格を統一することで販売時のトラブルを避ける意図があるのかな、等と推測しますが、いたずらにものを増やしたくない私としては釈然としないところもあり。
他の皆さんはどんなふうに感じてらっしゃるのかな? と思い「初回利用時に専用容器の購入が必要な場合はどうしますか?」と伺ってみました。
結果はこんな感じ。
容器購入するという人が99人、容器購入せず、商品購入自体を見送るという人が55人。
そして、特定の条件を満たせば容器購入するという人が151人と最多でした。
軽い気持ちで何となく"いい感じ風"の容器を作って購入を義務化したら、うっかり潜在顧客の半数以上を失いかねませんよ。
という衝撃の結果。
「容器購入しない」を選択した方で、理由について丁寧にコメントを下さった方もいらっしゃいました。
「容器購入しない」を選択しましたが、理由を書いておきます。
ゴミを減らそうとしているのに店の専用容器を買わせるとなるとコンセプトに疑問を持ってしまうからです。
「え?そこで商売するの?」と思ってしまうと思う。
わかる。(何事)
量り売りを利用する動機は人それぞれだと思いますが、前回の集計結果でもお示しした通り、「ごみを減らせる」という点は、最も多くの方が魅力として挙げていた項目です。
ですので、容器販売をするのであれば、将来ごみになってしまうものを購入することを上回る必要性の提示が求められるのかな、と思います。
このへん、是非ともメーカーさん、販売者さんには認識を強めて頂きたい点だなぁ、と感じました。
では実際には、どういった条件を満たした容器なら、購入してもいいと思ってもらえるのか?
見ていきましょう。
1. 素材(48票)
一番言及が多かった項目はズバリ、容器の「素材」で、48票。
そしてその内半数の24票は、具体的に「プラスチックでないこと」を条件に挙げていました。
全体として、ガラスや天然素材など、環境負荷やライフ・サイクル・アセスメント(LCA)に配慮したものを期待する声が多かったです。
2. サイズ・重さ(38票)
次点が38票で、容器の「サイズ・重さ」。
しかもこのあたりはご家庭の人数や使用環境によって、実に多様な要望が挙がりました。
ポイントは大きく分けると2点で、「自宅での使用感」と「買い物時の利便性」。
自宅での使用をイメージしている方からは、「食器棚にそのまま収納できるサイズがいい」、「商品や使用環境に応じてバリエーションがほしい」といった声が。
そして買い物時にフォーカスした意見としては、「コンパクト・軽量で持ち運びやすいものがいい」というものから、「500mL以上の大きいサイズ」というものまで。
まぁ、考えてみれば当たり前です。
多くても少なくても、自分のほしいだけ購入できることが量り売りのメリットならば、そこに魅力を感じ人が求める容器のサイズが、みんな同じわけありません。
このへんで既に、「容器購入しよう」と思ってもらうための条件を満たすのが生半可なことでないことが見えはじめている感がありますが……
まだまだこれからです。続き行ってみましょう!
3. デザイン・機能性(30票)
続いては、「デザイン・機能性」で30票。
具体的な要望としては、「衛生的に管理しやすいこと」(13票)と、「そのまま使えること」(7票)に対する言及が多かったです。
例えば、洗いやすく、煮沸消毒できるような構造であること。詰め替えがしやすいこと。
オイルを購入する場合は、油垂れしてしまうような口をしていない。
シャンプー等の洗剤類の場合は、キャップ部分を付け替えるなどすればそのままディスペンサーとしても使えるものがいい、といった要望もありました。
また、食品容器の場合はそのまま仕舞っておいても中身が把握しやすいクリア容器がいい。
生活空間に馴染むシンプルでおしゃれなデザインがいい。といった声も多かったです。
形状については、食器棚などに仕舞いやすい四角柱がいいというご意見もあれば、洗いやすい円柱型がいいというご意見も。
うーむ、日々の暮らしに対するこだわりは正に人それぞれ。
このへんは、何が絶対の正解ということはなく多分に好みの問題なので、選択肢は無限に枝分かれしていきそうだなぁ、と、ご意見を拝見していて痛感しました。
4. 価格(26票)
そして4位は「価格」。
お買い物においては当然、重要な判断基準の一つですよね。
具体的には、「500円以下」、「再訪しなかったとしても惜しくない値段」とのことで、リーズナブルさを期待する声がみられました。
また、「値段相応」という書き方をされていた方もいらっしゃいました。
ある程度の値段をつけるのであれば、上で挙げたような相応の素材感や機能性を備えていないと、手に取ってくれる人は限られそうです。
5. 耐久性(22票)
これは、挙げなかった方にはそもそも当然と考えている方も多いのかも……と思いましたが。
ごみを減らすために量り売りを利用するならば、容器は当然繰り返し使えるもの、できれば少しでも長く使える丈夫なものがいいですよね。
そういった意味で、容器自体の丈夫さに加えて、「パーツが後でも買える」、「破損・劣化時のフォローがある」といったアフターサービスの充実に期待する声もありました。
6. 不要になっても捨てなくていい(17票)
これはごみを出したくない、という点では耐久性に通じますが、そもそも商品購入での容器利用の機会自体がなくなってしまったときや、容器が古くなったときのことを考えてのご意見もありました。
たとえば、商品購入に利用しなくなっても、「別の用途に使えるような汎用性の高いデザイン」(13票)であることや、容器を返却したら返金を受けられる「デポジット制」(3票)。
更には、「古くなった場合に、少し安く新品と交換してもらえる」サービスがほしい、なんて声もありました。
7. 容器以外の条件
そして当然、容器以外の条件を挙げて下さった方もいらっしゃいました。
これまた、類似意見の多かった順にみていきます。
7-1. お店に継続的に通う予定がある(15票)
上で、もしもお店に行かなくなった場合に他の用途にも使える容器を……という話もありましたが。
やはり基本的には、再訪する予定のないお店で一回ぽっきりのお買い物のために、わざわざ容器を買おうとは思いにくいですよね。
そりゃそうだ。
7-2. 商品が魅力的(4票)
これは上にも通じますが、容器購入してまで買いたい商品か?
その商品をまた買いたいと思うか?
というあたりがポイントになるというご意見。
これまたごもっとも。
7-3. そもそも納得できる理由か(4票)
そして更に根本的なところを突いてきます。
「そもそもなんで専用容器を買わなきゃいけないの?」という疑問に対する、納得のいく理由があるか、というところ。
例として挙げられていたのは、商品の特性上専用容器でないと品質保持が難しい場合などでしたので、企業側の利益や利便性は、この場合「理由」にはならないと考えた方が良いと思われます。
7-4. 専用容器での購入に対するインセンティブがある/予定外に容器が必要になった場合(2票)
「専用容器での購入なら値引きがありますよ」等、何らかのメリットがあれば購入しますよ、というご意見。
こういうのって、販売側からすると購買促進策のそこそこ上位に挙がってくる案のような気がしますが、今回これを挙げた人は136名中たった2名なんですね。
これが売り手と買い手の間に横たわるギャップか……
そして、「持参容器では足りなくなった」「容器持参を忘れた」などのイレギュラーで、予定外に容器が必要になったときは買うかも、というご意見も。
これはある意味、通常であれば容器は買わないよ、ということを前提にした話でもありますね。
7-5. その他
他、分類が難しかったご意見や、そもそも容器購入とはちょっと違うような……というご意見についてもご紹介しますね。
まずは、「専用容器っていうかリユース容器を使おうよ!」というご意見。
容器がリユースされたもの(店舗で煮沸消毒)であること
容器が無い人や忘れた人用にアップサイクルした容器や、個人やお店から引き取ったリユース容器などが置いてあったりするとさらに素敵だと思います!(新しく作るのではなく、すでに地球上にある資源を再利用する形が理想)
これは、前回もご紹介した通り、既に導入されている量り売りショップさんも多そうですね。
しかし、再利用容器はかたちや素材もバラバラなので、専用容器を購入させたがるお店の方針とは合わなそうだなぁ。
その一方で、容器を自分で用意するのが負担、容器を忘れてしまった、という人にとっては大助かりですし、新しい容器を作るよりうーんと環境負荷も小さいですから、どんどん活用されてほしいシステムですね。
続いて、忙しい現代人らしい、こんな声も。
商品の内容、購入時に時間がかからないか(ポイントカードの勧誘?など)
それから、システム面次第というご意見も。
1つの商品につき1つの容器なのか、1つの容器に複数入れても良いかなど
これは、ミックスナッツやドライフルーツ、雑穀の類を、色々混ぜ混ぜしたい場合のお話でしょうか?(違ったらすみません)
ちょっとずつ色々取りたい商品の場合は確かに、「購入する商品の数だけ容器を買わなきゃいけないの?」てなりますよね。
容器販売についてのまとめ
以上、大手スーパーの量り売りなどでしばしばお見掛けする容器購入のシステムですが、量り売りを利用したいと考えている購買層には、中々にシビアな目を向けられていることがわかりました。
実際、こんなコメントも。
イタリアのCOOPスーパーの洗剤量り売り機では、専用容器購入義務付けされており、納得いかず買っていません。
オペレーションや品質管理の問題で、販売側として専用の容器が必要な場合もあるかもしれません。
しかしそうしたときは、販売というより、リユースを前提としたデポジット制を基本に考えた方が、消費者のニーズには馴染みやすいかもしれませんね。
アクセスについて(10/18追記)
さて、今回ご質問した中で、お店での販売に直接関わるお話はここまで。
ここからは参考のため、量り売りそのものからは離れて、アンケートに回答下さった方のアクセスや、大まかなプロファイルについてお示しさせて頂きます。
このへんは、地域毎の利用者層によって全然違ってくると思うので、あくまで参考まで、という感じではありますが……
店舗の利用時間
まず、店舗を利用しやすい時間帯について、「買い物に行くことの多い時間帯を教えて下さい」というかたちでお聞きしました。
グラフは、355人回答時点のもの(複数回答可)をお示ししています。
平日は、午前中 78票、午後 93票、17~20時 153票、20時以降 56票と、夕方から夜にかけての時間が最多という結果に。
対して土日祝日は、午前中 121票、午後 185票、17~20時 79票、20時以降 18票と、日中の時間帯に票が集まる結果となりました。
交通手段
続いては交通手段について。
「利用することの多い交通手段について教えて下さい」という質問への回答は、以下の通り。
複数回答可で、水色のバーは全票数。
その中で、単独票(つまり、他に主たる交通手段がない人の数)は橙色のバーで示しています。
多い方から列記すると、自動車 141票(内、単独票は72票)、公共交通機関 124票(42票)、自転車 93票(19票)、徒歩のみ 21票、原付・バイク 5票。
また、自動車や徒歩を選択された中には、回答者ご本人は車の運転をされないため、自動車の利用機会がは家族の都合に依存するという方もいらっしゃいました。
お客さんの店舗利用の時間帯や、移動手段は、お店の営業時間や立地、駐車場の有無にも関わる問題です。
なので、地域差もあるようならば地域毎での集計も必要か……とドキドキしていたのですが(オイ)、実際のところ、内訳に大きな違いはありませんでした。
まぁ、今回のアンケートは
① 回答者数が然程多くない
➁ 地域については都道府県別での回答であり、自治体内での都心部・郊外の地域差については吸い上げられていない
といった制限があるので、もう少し大規模に、きめ細かな調査を行ったらまた違ったデータが出てくるかもしれませんね。
その他のプロファイル(10/18追記)
その他のプロファイルについては、全335人回答時点の Google form 自動生成の図(を少し編集したもの)を掲載させて頂きます。
いずれも回答任意なので、回答者数はばらつきがあります。
(音声読み上げなどを利用している方にはご不便をおかけしてすみません)
居住地
回答者数 328名
年齢
回答者数 328名
性別
回答者数 324名
世帯年収
回答者数 288名
世帯構成は、中々多様で定量的な集計に難を感じたので、今回は割愛させて頂きます。
ありがとうございました!
以上、長々とお付き合い下さり、ありがとうございました。
こちらのアンケート、たくさんの方が拡散にご協力下さったお陰で、最初の1週間だけで200人以上の方に回答頂くことができました。
私の事務処理能力や時間的都合の問題があり、結果の共有に大変なお時間を頂く結果となってしまいましたが、多くの方に関心を持って頂いたこと、とても嬉しかったです。
記事内でもふれたフランスの量り売り事情は、勝手に環境問題係長さん(@susecoplant)がご紹介下さった、こちらのサイトを参考にさせて頂きました。ありがとうございます。
■ 食品開発ラボ:フランスの脱プラスチック政策
係長さん、ご自身のTwitterアカウントで、環境問題に関する有益な情報を色々と提供下さっていますので、ご興味のある方はぜひのぞいて見て下さい。
また、開業を考えていらっしゃる方のお声を直接うかがえたのにも、テンション上がりました!
近所に量り売りショップがないので自分でオープンしたいなと考えています。今回の結果、とても楽しみにしています。量り売りショップのオーナーさんとつながれる機会があると嬉しいです!
(前略)Totoyaさんの開業講座を受講しながら現在愛知県にて量り売りのお店を開店準備中なので、結果を拝見すること、これからの発信もとても楽しみにしております!
個人では包装容器の削減に限界があるので、量り売りショップが近所にあれば嬉しいというのと、もっと文化として広げたいという思いもあり、nueさんの開業講座にも関心を持っています。こちらのアンケート結果、楽しみにしております。
今は地方の役所で公務員をしていますが、近い将来宮崎で自分のお店を持って、量り売りをしたいと思っています。江戸時代のような物を大事にする、そしてプラスチックごみを出さない暮らしが日本に定着する日を夢見て目標に向かって頑張りたいと考えています。 活動頑張ってください。応援しています。
知人と関西で緩くではありますが、量り売りをできないかと検討中です。(後略)
色々な方が、それぞれの環境の中で自分なりの哲学を持って、真摯に問題と向き合っていらっしゃる姿は、とても素敵なものだな、と感じます。
Twitterでもコメント下さった がるびあさん(@garubia)は、開業に向けて既に具体的な準備を進めていらっしゃるところとのこと。
情報の収集や拡散など、わたしたちでも何かお手伝いできることが出てきたときは、是非みんなで協力して盛り立てていきたいですね。
アンケートの最後に、「この機会に何か伝えたい思いがあれば」と、自由記載欄を設けさせて頂きました。
ここにも、本当にたくさんの方がコメントを下さって、いかに多くの方が、現在の消費の在り方や環境問題に関心を寄せていらっしゃるのか、改めて実感しました。
内容については、これまでの集計でも少しずつ取り上げさせて頂きましたが、
量り売りが、コンビニやスーパーのようにごく身近な存在になってほしい
ごみ問題をはじめとした環境問題への意識が、もっと広まってほしい
というご意見が、本当に多かったです。
そんな中から最後に3つほど、共有する機会のなかった長文をご紹介して、後篇は〆とさせて頂きます。
安全面・衛生面にかかるコストを考えると、使い捨て容器で販売してしまうほうが企業様側も楽なのだろうと思います。
しかし、使い捨てによるごみ問題はもはや無視できないものになってきています。
家電リサイクル法が出来たように、売った製品から出るごみ処理も企業の責任となる時代がくるかもしれません。
そんな先の時代を見据えて量り売りを始めてくれる、力のある大企業が出てきてくれることを期待しています。
海外の動向を見る限り、これは、国が環境問題への対応に本気になった場合には、十分に考えられる施策ですよね。
日本の場合、国からはそこまでの気概を感じないのが現状ではありますが……
ただその場合も、SDGsを前提とする海外投資家の厳しい目は、今後さらに無視できないものになってくると思いますし、こういった視点を持てることと企業の将来性は、決して分けては語れないものになってくるのではないかな、と思います。
自分はあまりプラ容器削減による環境保全などに興味関心が薄いタイプなので量り売り→環境保全という文脈以外にも私たちにどんな経済的メリットがあるのかお知らせいただけると切り口は違えど興味を持つような気がします。 現にエコバック多用しているのですが、環境配慮というより単に毎回ビニ袋捨てるのもったいないな(ゴミ袋などに活用せずそのまま捨ててた)、ビニ袋でゴミ箱いっぱいになってしまうなと思って使い始めた背景があります。
個人的に、これはすごく頷くところがありました。
ごみの削減や食品ロスの削減って、個人の単位だけでなく、社会全体にとって非常に経済的なインパクトのあることだと思うのですが、そのことに対する認識って、十分に広まっていない感じがありますよね。
現在の私たちは、ごみのために、何重にもリソースの無駄を積み重ねている状態にあります。
過剰包装や、結局は廃棄されてしまう余剰生産分にかかる費用、産業ごみ処理のために企業が負担する費用は、結局はすべて商品生産にかかる費用であり、私たちが購入した商品の単価に含まれています。
そして、企業や家庭から出たごみの収集、処理には、私たちが支払った税金が使われます。
当然、そうした製造にも、処理にも、たくさんの人の時間と労力、その人たちに支払うお給与が必要になります。
しかも、原料も、ごみ処理に必要な燃料も、その多くは海外からの輸入してきた貴重な資源。
そもそも必要以上のものを作らなければ、ごみに係る"ムダ"のために上乗せされている商品単価を削ったり、あるいは、商品そのものの品質や、作り手への待遇向上に振り向けることができるのではないかしら。
ほとんど、あるいは全く使われないままごみになるものを作っていたその資源を、もっと別のことに有効活用できるのではないかしら。
プラごみでいっぱいのごみ袋を見つめながらしみじみと思った、そんな「もったいないなぁ」という感慨が、私にとっては、ゼロ・ウェイストの出発地点だったのですが……
すみません、ちょっと蛇足が過ぎましたな。苦笑
最後に、ほっと心のあたたまるコメントを。
子供の頃、母がたまには美味しい味噌で美味しいお味噌汁作ろうね、とデパートの地下の量り売りで味噌を買っていました。味噌の風味は豊かで甘くコクがある美味しい味噌汁となって食卓に出てきました。量り売りはそんな思い出もあり、日常のなかでも特別だったり、こだわりだったり、ちょっと暮らしを豊かに感じさせてくれるものだったりするんだと思います。
私はお酒は飲みませんが近所にある洋菓子屋のシャトレーゼがワインの量り売りをやっていて、とても良い印象を持ちました。
売り場面積や衛生面などの問題もあるかもしれませんが、量り売りがもっと身近で普通にあるものだと良いなと思います。
サービスへのニーズは、細分化すれば際限なく、本当に人それぞれです。
世の中に対する理想のかたちも、決してすべてが、綺麗に重なり合うものばかりではないでしょう。
けれど、日々の暮らしが、より良いものであれば嬉しい。
できればそこに、人生をそっと照らしてくれるような、喜びや豊かさがあればもっといい。
そんな思いは、誰の胸にも多かれ少なかれ、そっと息づいているものではないでしょうか。
私たちの、そして、私たちの後に続く世代が過ごす日々が、少しでも良いものになるよう、倦まずたゆまず歩んでいきたいものですね。