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ひとり暮らしのローリングストック実例【無理なくできる食糧備蓄】

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毎日コロナ、コロナですね。
飛び交う情報に、置きどころのない不安を感じている方も少なくないと思います。
かくいう私も、己は己でできる備えをして後はどんと構えていよう、と思いながらも、浮き足立つ人々を見て「何かできることはないかしら」と、一緒に浮き足立ってみたり。

そこで……という訳でもないですが、今日はわが家の食糧備蓄事情について、まとめてみたいと思います。
元々、東海地震が来るぞ来るぞと脅される地域で育った人間なので、災害時の備えはしている方なのですが。
昨年の千葉の台風やその後の長期的な停電を見てからは、長期戦を見込んだ備えが必要だな、と一層の試行錯誤をしました。
というわけで、今回は2020年最新版(笑)でお届けします。

外出を控えざるを得ない今は、家庭内のものを見直すいいチャンスかもしれません。
多少なりと、参考になるところがあれば幸いです。

ローリングストックって何?

私が「ローリングストック」という言葉を知ったきっかけは、こちらのムック本。

災害への備えについて、日頃の片付け方や暮し方という切り口から、今日からすぐにはじめられる具体的な対策にまで落とし込んで書かれている、さすがクロワッサン、といった感じの良書。
ついつい忘れがちな、女性ならではの備えから、ペットやお子さん・お年寄り連れの避難、果てはトイレの備えまで。
きめ細かに書いてくれている本なのですが、この中の食料備蓄の項目ではじめて、「ローリングストック」という言葉に出会いました。

ローリングストックというのは、普段から少し多めに食材を買い置いておき、使ったらその都度補充することで、一定量の食料が家にある状態にしておく備蓄の方法
日常生活で古い食材と新しい食材を循環させながら備蓄することを意味する、和製英語です。(英語だとローリングストックは「鉄道車両」の意味になっちゃいますね笑)

もともと、災害時の食糧には非常食を買い置いていたわが家。
缶詰主体の、賞味期限3年とか5年とか長期保存ができるアレですね。
もちろん、これはこれで今でも心強いストックです。
しかし難を言うと、高い。
数日分程度ならいざ知らず、こういった保存食だけで、この前の台風時のような長期の避難生活を乗り切るのは、中々にお財布に辛いです。
しかも保存期間が長いので、賞味期限切れになっていないか、数は足りているか、定期的に確認してきちんと管理する必要があります。
大事なことだけど、ちょっと面倒くさい。

そしてもうひとつ、これは私の個人的な好みの問題ですが……
荒れ果てた自宅での避難生活をリアルに想像したとき、非常事態で心身ともに弱っているときに、食べ慣れていないものを毎日食べ続けるのはしんどいな、ということを感じました。
毎食ではなくてもいい。
簡単なものでもいいから、時々は普段の味でほっとしたい。

そんなことを考えていたときに、ローリングストックの考え方を知って、自分にはこっちの方が合ってるかも、と思いました。
自治体や消防、福祉施設、医療機関などのまとまった備えとしては、製品としての災害食は超のつく優れものだと思います。
でも個人の備えは、必ずしもそれに拘らなくてもいいんですね。

ストックの3要素

とはいえ、「ちょっと多めに」といっても、具体的に何をどれくらい買っておけばいいのか?
保存期間はものによってまちまちですし、無闇な買い過ぎで食品を悪くしてしまっては勿体ない。
あれこれ考えるうちに、私の中では、「保存食」「準保存食」「生鮮食品」という食料品の3分類ができあがりました。
以下、具体的にご紹介しますね。
(あくまで個人的な分類で、正式な用語ではないのでご注意!!)

①保存食

缶詰、乾パン、アルファ米……
いわゆる防災備蓄と聞いて思い浮かぶような、年単位での保存が可能な食品が、これにあたります。
加えて、お米や未開封の乾物など、普段食べている食品でも、数ヶ月から年の単位で保存が可能なものは、ここに含めています。

この理屈でいうと、非常食じゃない普通の缶詰も、ここに入ってきます。多くのお菓子やシリアルの類もここですね。
ゼロウェイストの観点ではデメリットが目につくアルミ蒸着のプラスチック袋は、食品の長期保存という点では、驚くほどの優れものです。
わが家では、いざというとき加熱しなくても手軽に食べられて、栄養バランス的にもまずまずかな? ということで、フルーツグラノラとオートミールを常備しているのですが(そして何も作る気がしないときに摘み食いしちゃったりするわけですが……)、賞味期限はいずれも未開封でほぼ1年くらい。

それから、普段は口にしないのですが、小さい頃からパワーフードというイメージがあって食べるとドーパミン出るので、凹んだときのドーピング用にスニッカーズも買い置いています。笑
レトルトは普段はあまり口にしませんが、カレーは疲れているときも食べやすいので常備しています。
以前は火が使えない時のために、常温でも食べられる(衛生的に問題なし、とメーカーが公式にコメントしています)無印良品のカレーを置いていたのですが、「加熱しないなら動物性油脂を含まないものの方が美味しく食べられるよね(動物性油脂が溶ける温度は体温よりヒトの高いので)」と思い至ってからは、ヴィーガンカレーを好んで選んでいます。

すぐに手に入って長期保存できて、非常時、ストレスなく手軽に口にできるもの。
そういうものを少し多めに置いておくだけでも、立派に助けになってくれる気がしています。

ちなみに、私は昨年はじめてオートミールを食べたのですが、意外に美味しくてびっくりしました!

エルサンクジャポン 有機オートミール 250g

はじめて食べたのはこの商品だったのですが、やさしい甘味で、正直フルグラより断然好み。
インスタントオートミールは、加熱処理済みでそのまま食べられるし、甘くなくてお粥的な食べ方もできるので、とても非常食向きだと感じました。

最近は、近くのスーパーで取り扱ってくれるようになったこれを常備しています。
同じメーカーで缶入りもあるらしいので、身近で手に入ればそちらも気になるところなのですが……
オートミールは離乳食対応規格のものも多いので、小さいお子さんやお年寄りのいるご家庭でも、役に立つかもしれません
(一昨年の地震や去年の台風でも、スーパーの棚からベビーフードが根こそぎ無くなっているのを見ましたので……)

②準保存食

これこそいよいよ完全に私が勝手にいっているだけ、という感じなのですが。笑
この分類を設けてから、ストックの把握と管理が格段にしやすくなりました。

ここには、数週間〜2、3ヶ月程度保存が可能な、加工食品や開封済みの乾物、発酵食品などが含まれます。
わが家ではあまり加工食品を買わないのですが、納豆やお味噌、そして自家製の干し野菜やドライフルーツがここに入ります。
(納豆はパッケージに書いてある賞味期限は短いですが、納豆菌が繁殖しているので普通に冷蔵庫保存している分にはそうそう腐りません)


こちらはわが家のただいまのストック。いまは生野菜がたっぷりあるので、普段より少なめです。
ごぼうもネギも、これでそれぞれ2本分。省スペースに保存できるのは、乾燥食品の強みですね。
使う時は、料理によって水に戻したり、お味噌汁や煮物だったらそのままお鍋に入れちゃったり。
容器はジャムなどの空き瓶を転用。
賞味期限とかの管理は大の苦手なので、蓋にはマスキングテープを貼って必ず製造日を書いています。苦笑

写真は水で戻した干し大根を納豆で和えたもの。
大根の歯応えと甘味、納豆のねばねばのコラボだけで十分美味しいのですが、オリーブオイルを足してイタリアンハーブを振ると深みが出て、最近のお気に入りです。(びっくりするくらい見た目が美味しそうじゃないけど。汗)
日持ちのする食材で、火を使わずにちゃちゃっと作れる冷菜をレパートリーに入れておくと、普段の献立にも、非常時にも、心強い味方になってくれると思います

③生鮮食品

これも言わずもがな。
数日〜1、2週間程度で食べ切る必要のあるお野菜、お豆腐、お肉・お魚などの食材ですね。
「足が早いし、冷蔵保存しなきゃだし、備蓄にはならないでしょ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっとたんま。
こうした食材も、見方を変えて相手のことをよく知っておけば、いざというとき助けになってくれる可能性が広がります。

例えば、これは火を使わなくても食べられるものか。どういう食べ方ができるのか。
これは常温保存できるものか。室温で保存するなら、どういう環境が適しているのか。

そういったことを知っておくだけで、日頃口にしている食材を、災害のときにもフル活用できるようになります。
正に、知恵は身を助く。

また、余った生鮮食品は、自宅で手を加えてあげれば、準保存食に生まれ変わらせることもできます
上で取り上げた自家製干し野菜は、その良い例です。
こういう術を知っていると、備蓄を増やせるだけでなく、食品ロスも減らしやすくなって良いですね。

私は街中のワンルームマンションにひとり暮らし中で、雨が降ると外壁が真っ黒になるような環境なので、干し野菜を作るにも外干しなどもっての他。
それでも、東側の日当たりの良い窓辺に干し網を吊るしてお野菜を並べれば、ちゃんと干し野菜ができ上がりました。
最初に試したのは去年の9月、台風の最中。
天気も悪いし湿度も高い中、敢えてチャレンジしてみましたが、カビることもなくちゃんと美味しい干し野菜になってくれて、嬉しかったです。

写真は干し始めてちょうど7日目のバナナ。切り立てホヤホヤのも比較に並べてみました。
どちらも美味しかったです。(食ったんかい)
干し網は、むかーし3coinsで買ったニット干し用のネット。
干し野菜は切って並べて後は放ったらかし、と超簡単なので、気になる方はまずは家にあるもので試してみると良いと思います。

私はものぐさなので、その他のスキルはからっきしですが、お漬物とか、発酵食品とか、そういったものを作ることに長けている方は、それだけ食材を生かし生き延びさせることができる人でもあるんだよな、と、最近しみじみと感じます。
冷蔵庫が普及する前の日本人は、そういう知恵をたっぷり身につけていたのでしょうね。

そんな感慨もあって、最近はこちらの本で、糀仕事についてお勉強中。
食材をただ生き延びさせるだけでなく、時間が経つことでより美味しくなるなんて、改めて考えると、発酵の世界ってまるで魔法のようですね。

上手に食料備蓄するために

さて、ここまでで3つの分類についてお話ししました。
では、それぞれのカテゴリーをどれくらい備蓄しておくのが適切なのか?
結論から言えば、それは「人それぞれ、家庭それぞれ」だと思います。

例えば、普段空お家でごはんを作るご家庭では、基本的にいつもまとまった量の生鮮食品があると思います。
こういった場合は、非常時は生鮮食品を準保存食に作り替えることも念頭に置きつつ、生鮮食品と準保存食中心にローリングストックし、足りない日数分を保存食で補う、というかたちが良いかもしれません。
とはいえ、人数の多いご家庭であれば生鮮品の消費ペースは速いでしょうし、その場合は準保存食・保存食の買い置きもたくさん必要になるのではないでしょうか。
逆に、少人数で自炊の機会も少ないご家庭は、生鮮食品を購入する機会も量も少ないので、十分な日数分の保存食を確保しておくのが安心だと思います。

ちなみに我が家は、非常食や缶詰、お菓子やシリアル、レトルト食品等の保存食が2週間ちょっと。
これに加えて、準保存食と作り置き多めで、生鮮食と合わせて2週間分ほど。
スーパーに行った後は生鮮食品がぐっと増えますが、1人では中々一気に消費しきれないので、一部は準保存食に作り替えて、ストックに回しています。

ローリングストックは、普段の食料品の循環を前提としています。
だから、ちょうど良い備蓄量を考えるには、「普段の循環」を把握することが大切
そこで最後に、わが家でやっている一工夫をご紹介しようと思います。

「わが家の消費ペース」を知ろう

2019年。
ごみを減らしたいと思った私が最初にやったのは、家の中のありとあらゆるものに、「開封した日付」を書き込むことでした。
シリアル、乾燥わかめ、調味料、トイレットペーパー。
ごみ袋も新しいのを出してセットしたら、必ずその日付を書き込みます。
そうすることで次第に、シリアル一袋を自分が何食で空にするのか、醤油1瓶使うのに何ヶ月かかるのか。
そういうことが、実感を伴ってわかるようになりました。

空になった容器をごみ袋に入れるときには、そこに書かれた開封日から、何ヶ月で空になったのかが計算できます
なので、新しい容器を開けるときには、開封日と合わせて、「○ヶ月分」と書くようにしました。
これで、次からは「ああ、この食材はまだ2ヶ月分残ってるなぁ」といったことが、手に取った瞬間に把握できるようになります。
もともとはごみ削減のためにはじめた工夫ですが、これは思わぬ副次効果でした。
多少の誤差はあれど、頭の中で一々あーだこーだと余計な計算をしなくて良いのは、思いの外に快適なものです。

ちなみに、物によっては使う度に正の字を書いてカウントしていって、「この一袋は○回分」という把握の仕方をしています
シリアルや具材系はこの表記の方が、大体何食分が確保できているのかわかりやすくていいかな、と思います。


わが家の台所ではマジックペンが大活躍。すぐ手に取れるよう、いつでも冷蔵庫付近にスタン張ってくれています。

まとめ

ゼロ・ウェイストを通して、環境問題のことを考えるようになってから、非常時の備えについても、日常的に心を至らせることが増えました。
ちょっと面白い思考のリンクだな、と感じます。
これはもちろん、地球環境の変化を深刻に捉えて、災害をより差し迫った危機と考えるようになったから、という面もあるのでしょう。
けれどそれ以上に。
地球の循環、社会の循環、そしてその中に一人ひとりの暮らしの循環、という入れ子構造と、それぞれの間の相互関係が、なんだか考えれば考えるほど、大事なもののように思えてきたからなのかもしれません。

私たちのいまの暮らしの便利さは、大半、自分の目に届かない社会のどこかでの生産活動に支えられています。
そしてその生産活動は、更に目の届かない遠くで、地球環境を多かれ少なかれ損なっています。

そうと意図しないところで何かを損ない続ける消費行動も。
ひとつのイレギュラーで大きく揺らぐ日常も。
根底には、その多くをアウトソーシングに頼る暮し方があります。

その便利さを根こそぎ手放して、みんなで仙人になろう、なんて。
いまの私に、いきなりそんなことをいう度胸はありません。そこまでの生命力も生活力も、持ち合わせていないことは自覚しています。
ただ、ほんの少しずつでも。
自分の暮らしをもっと、自分の手元に取り戻していくことを、考えてみてもいいのではないかな、と。

日々の暮らしを支える食品と改めて向き合ってみるのは、その手始めとしても悪くない取り組みなのではないかしら、と。
そんなことを思うのでした。