こんにちは、むるまです。
先日、Twitter 上で、セロハンテープはプラスチックだからなるべく使いたくない……とお悩みに遭遇しました。
ひょっとしなくても、同じように悩まれている方、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?
しかしですね。
安心してください、セロハンはプラスチックじゃありませんよ!
え? じゃあ何なの?
という方のために、本日はセロハンについて整理しようと思います。
セロハンとは何か?
セロハン(cellophane)とは、植物の繊維であるセルロース(cellulose)を化学的に処理し、レーヨンを生成する過程でできる中間生成物、ビスコース(viscose)を原料とする透明な膜状の物質です。
……なんのこっちゃ、て感じですかね?
ざっくりいってしまうと、紙の親戚という感じです。
見た目は透明でビニールのようですが、ビニールなどのプラスチック製品が石油を原料とするのに対して、セロハンの主原料は木材を粉砕して作るパルプ。紙の原料と同じです。
そして化学的な性質も、紙によく似ています。
生分解性がある
植物の繊維からできているセロハンは、紙同様、土に埋めておくと二酸化炭素と水に分解されます。
これについては、わが家のコンポストでの分解の様子を、いずれシェアできたらと考えています。
また、プラスチックではないので、燃やした場合も有毒なガスは出ません。
それこそ風呂の焚き付けにできるような、カーボンニュートラルな素材だといえますね。
水分を通す
セロハンは紙同様、水分を吸収し、透過します。
水は通すけれど大きな分子は通さない、いわゆる半透膜としての性質を利用して、たとえば医療現場では、血液透析の交換膜として利用されていたりします。
現在は水を通さないように加工された防湿セロファンという素材もありますが、通常のセロハンと違い生分解性は失われてしまうのが難点です。
熱で溶けない
熱が加えられた際、プラスチック素材が溶けながら燃えるのに対して、セロハンは紙同様、溶けずに炭化します。
この性質は、プラスチックと見分ける際に利用されます。
伸びない
引っ張ってもビニールのように伸びません。
静電気が起きにくい
プラスチック同様透明で中身が見えやすい上、プラスチックより静電気が発生しにくいため、粉薬等を入れる薬包として利用されることも多いです。
しかし、セロハン単体では熱圧着式のシーラーが使えないため、通常はポリエチレン等との混合素材が使われています。
セロハンは何に使われている?
そんなセロハンは、日常的にはどんなところで使われているのでしょうか?
チョコレート(チロルチョコとか)や飴などの食品や、日用品の包装で、「なんかパリパリいうな?」と思ってみたら、プラマークがない。
引っ張っても伸びない。
なんて時は、プラと思いきやセロハン、ということが地味にあったりします。
そして、ゼロ・ウェイストを心がけている人でもほぼ確実に遭遇するのが、封筒の宛名窓。
あのパリパリいう透明のフィルムは、高確率でセロハンです。
うっかりプラとして分別しないように注意しましょう。
セロハンテープの注意点
そして、セロハンといえば圧倒的に日常に溶け込んでいるのが、セロテープ。
見えますか?
商標の上に堂々と掲げられた「天然素材」の文字。
類似品はプラスチック素材のものも多いので、脱プラスチックの観点からいえば、本家セロテープをお勧めしたいところ。
ただし、セロハンテープも使用目的によっては注意が必要な点があります。
それは経年劣化。
セロテープの粘着剤は天然ゴムが主体となっているため、時間が経過すると粘着力がなくなり、茶色く変色してしまう性質があります。
そのため、製本や本の補修での使用はお勧めできません。
敗れた本を直したりする場合は、ペーパーエイドという商品がお勧め。
紙製のテープですが非常に薄く丈夫で、貼った後で文字が読みにくくなることも、経年劣化で変色する心配もありません。
図書館などでの補修にも使われている、信頼のおける商品です。
まとめ
プラスチックが身の回りにあふれている現在、 わたしたちは透明なものを見かけると、つい「プラスチックだ!」と思いがちです。
でもセロハンはプラスチックとはまったく異なる素材。
特にごみ捨ての時などは、間違えてプラに分別してしまわないように気をつけましょう(どちらかわからない時は、燃えるごみ(汚れたプラを燃えないゴミとして処理している自治体であれば燃えないごみ)に分別するのが無難です)。
最近では、ヒートシール機能のあるセロハンなども開発されてきているとのこと。
今後、プラに変わる素材として改めて見直されていくと良いなぁ、と期待する今日この頃です。
◎ 蛇足
ちなみに全然関係ないのですが、いせひでこさんという方の絵本で、本のお医者さんであるルリユールという職業について描いたものがあります。
その続編的存在である『大きな木のような人』と合わせて、わたし大好きなんですよー。
児童書コーナーのある本屋さんや図書館なら、置いているところもちょこちょこあると思うので、もし読んだことのない方は、ぜひ一度お手に取ってみてください。
おすすめ。