※以下の記事はアフィリエイトリンクを含みます。
こんにちは、むるまです。
いろいろなことがあった2022年も、気づけばもう終わり。
このページの更新も、2月を最後に長らく止まったままになってしまっていました。
どーもどーも、お久しぶりです(てへぺろ)
多くの人にとって、たぶん厳しいことの少なくなかっただろう今年。
けれどその反対側にはきっと、心をあたたかくするような思い出もあるのではないかな、と思います。
かくいうわたしも、今年は(も?)ざまざまな人や物との出会いに恵まれました。
その中のひとつは、友達に紹介してもらった一冊の本。
せっかくなので、この大切な一冊をご紹介して、この一年の締め括りにしたいな、と思います。
「サステイナブル」は人類を救うのか?
本の紹介に入る前に、以前から気になっていた言葉の話をしようと思います。
わたしが疑問に感じている言葉、それは「サステイナブル(持続可能性)」。
なんだか穏やかで清潔で、「意識高い系」と言われちゃいそうな熱量のない、フラットな印象の響き。
この1、2年で、SDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)なんてワードも一気に広まりました。
気づけばいつの間にか、「地球にやさしい」、「エコ」、なんて文句と同じくらい、ふわっと曖昧に受容されているようにも思えます。
別にね、それ自体には文句はないんです。
環境に厳しいよりはやさしい方がいいと思うし、持続不可能なよりは持続可能な方がいい。
でもね。
決して、「それで解決する」訳じゃないんだよ? ということは、折にふれて主張していきたい。
そもそも前提として、いまわたしたちが行っている経済活動のほとんどは、いま直面している気候危機を推し進める方向に作用している。
地球温暖化は、これまで排出してきた二酸化炭素の累計に正比例するかたちで進んでいきます。
年間排出量ではなく、累計に、です。
つまり、温暖化は、わたしたちが排出するCO2がゼロになってはじめて、ストップする(実際には、その後も少なからず進行するわけですが)。
CO2排出の少ない、「地球にやさしく」て「サステイナブル」だと謳う多くの製品も、CO2を排出する以上、気候危機を推し進めるものであることに変わりはない。
それらはただ、既存の製品と比べて、比較的マシなだけです(もちろん、本当の意味で、持続可能な生産というのもあると思いますが) 。
「CO2排出量の少ない」「サステイナブル」なものを生産し続ける行為は、やがて行き止まりにぶち当たります。
そうならないために求められるのは、「サステイナブル」よりも一歩進んだ指標なのではないか。
そんな思いが、長らくありました。
「リジェネレイティヴ」という考え方
もやもやを抱える中で、「リジェネレイティヴ」という言葉にはじめて出会ったのは、たしか2021年のこと。
誰かとの会話で偶然その言葉を耳にしたとき、「あ、わたしが求めていたのはこれだ!」と直感しました。
例えば、森林の伐採を少なくしたり、魚の乱獲を止めるだけでなく、森を、土地を、海を、野生生物をより生き生きと蘇らせること。
衣食住に伴う自然破壊を最小限に止めるのみならず、人間自身が自然の循環の一翼を担うこと。
そうしたことができるなら、人類はCO2の排出量を減らして延命を図るだけでなく、CO2排出を逆転させることもできるかもしれない。
とはいえ、それって簡単なことじゃないよなぁ……
夢を見た後、また別のもやもやに絡め取られたわたしが、ポール・ホーケンの『リジェネレーション 再生』と出会ったのは、2022年5月ごろのこと。
友人に、この本の読書会に誘われたことがきっかけでした。
『リジェネレーション 再生』
友人からこの本の存在を教わったわたしは、すぐに本屋で同書を手に取りました。
そして思いました。
めっちゃ分厚い!
実際には400ページ程度なのですが、カラー写真が多く分厚めの紙を使っているため、なんともずっしり重たい。
うわー、これ読むんか。
思いながらページを開いて、けれど「はじめに」「再生とは」「一人ひとりの力」と序文を読み進めるうちに、ぐぐっとテンションが上がりました。
ここには、気候危機を解決するための前向きで具体的なアイディアが詰まっている。
そうわかったからです。
たとえば、十分な広さの海洋保護区を設けることで、その保護区内だけでなく、周辺の生態系も大幅に改善すること、沿岸の海藻が守られることで、たくさんの二酸化炭素が吸収されることなんて、知りませんでした。
海を蘇らせるって、もっと大それたことだと思っていたけれど、実際には、人間が手を加えることを止めることで再生に転じるとは……
逆にいうと、どれだけの悪影響を及ぼしてるんだ人間……
森林や野生動物、土地についても、同じような発見がありました。
農業の仕方ひとつ変えるだけで、こんなにも環境にいい影響を及ぼすのか、と驚いたり。
数ページごとに現れる美しい写真も、最初は目を休めるスポットと思っていたけれど、読み進むうちに意味深く感じるようになっていきました。
地球にはこんなに美しい場所がある。力強い生命がある。
それを生かす力も殺す力も、わたしたちは手にしてしまっているんだなぁ、と。
都市や産業について考える
また、本書でありがたかったのは、「人々」、「都市」、「産業」といった項目に、多くの紙数を割いていたこと。
以前のわたしは、気候危機の解決は、これまでの暮らしの豊かさと引き換えにもたらされるものなのではないかと、どこかで思っていたけれど、そうではないのだ、と教えてくれた。
断熱性能の高い家、ヒートポンプ、自然エネルギーの活用は、CO2排出ゼロでの快適な暮らしを夢物語でなくしてくれるし、環境再生型農業では、高収量と土壌の保護を両立することができる。
何より励みになったのは、気候危機はすべての社会問題とつながっているという気づきを得られたことでした。
貧困、差別、飢餓、医療、労働……
この社会は、いろいろな問題にあふれています。
その中でわたしが多少なりとも力を注げてることがあるとすれば、それは環境問題と、自分の仕事に関わる領域程度。
ニュースや仕事などでその他の問題にふれるたび、それに対して何もできていないことに、申し訳なさを感じていました。
でも、からだはひとつ。できることは限られている。
だから「貧困産業」のセクションで、貧しさと環境破壊の悪循環について学んだとき、あぁ、自分が関心を持って取り組んでいることは決して、貧困に喘ぐ人を置き去りにすることではないのだなぁ、と、安心に似た思いを感じることができました。
『リジェネレーション 再生』は、Amazonのサイトで最初100ページほどを試し読みすることができます。
気になった方は、ぜひ見てみてください。
ワン・ジェネレーションの読書会
ちなみにわたしがこの本を読了できたのは、友人が紹介してくれた読書会のおかげ。
毎回少しずつ章を区切って、みんなで意見を交わしながら読み進めたのが楽しかった。
何より、知識豊富な他の参加者さんたちのおかげで、本に書かれた海外の事例だけでなく、日本での状況についても知ることができ、問題をより身近に感じられたのがよかった。
現在は、リジェネレーションの前に出版された『ドローダウン』という本を、第2・4日曜日に読んでいます。
本を持っていなくても無料で参加できるので、興味のある方は、ぜひ応募してみてくださいね(宣伝)。
まとめ
以上、今年読んでよかった!
な『リジェネレーション 再生』の紹介でした(内容にはあんまり触れられてないけれども……)
平和を願えば願うほど、悲しくなったり虚しくなったりすることは多いけれど、だからこそこういう本に出会うと「希望の書だ……」という感動に打ち震えます(割とマジで)
上では触れ忘れましたが、『リジェネレーション』の最後の章は、「行動+つながり」。
ネットを通じて繋がった方々から頂いたアイディアが、以前ご紹介したくるん京都の活動につながっていったように、声を上げること、つながることはそれ自体が何かを変えるエネルギーになるんだな、と感じます。
2023年も、そんな素敵な「つながり」を見つけていける一年にしたいな、と思いつつ、2022年の締めくくりとしたいと思います。
みなさん、今年もありがとうございました。
よいお年を!