Reach Out to Ecology

ひとりでも多くの人に、手の届くエコを。

落ち込んだとき、からだひとつ、心ひとつでできること。

※以下の記事はアフィリエイトリンクを含みます。

台風19号が日本縦断中です。
ありがたいことに、私自身は何事もありませんでしたが、台風15号をも上回る規模と被災状況に、これから更に被害が広がってしまうのではと、そわそわと落ち着かない気分で過ごしています。
被災された方や、今まさに影響の只中にある人は、どれだけ大変なことやら。

何もできずただ時間が過ぎるのを待つしかない。
気分が沈むけれど、普段の生活のようにそれを紛らわす術がない。
慣れない状況やプライバシーの保てない空間で消耗する。

できることや使えるものが限られる避難生活では、物資や体調の問題だけではなく、精神的にもしんどいものがあると思います。
そういったしんどさを和らげるために、どんなことができるだろう?
私の個人的な経験に基づく話にはなりますが、少しでも参考になればと思い、まとめてみました。

① 嫌な気分を抑え込もうとしない


不安、怒り、疑念、嫉妬、哀しみ……
ネガティブな感情が心に湧き上がってきたとき、反射的に、それを打ち消そう、押し殺そうとしてしまうことがあると思います。
暗い感情は自分でもしんどいから、なるべく早くなくなってほしいと思うのは自然なことですし、集団生活を送っていく上で、時には感情をコントロールする必要が生じることもあるでしょう。

ただ、もやもやと心の中に立ち込める重たい気持ちが、長く止まって中々消えてくれないとき、力技の否定はかえって逆効果になってしまいます。
理由は主に2つ。

ひとつめの理由は、否定が不安を増幅してしまうから
否定はとても強く心を動かす思考なので、実のところ私たちは、一生懸命否定すればするほど、その問題を一層強く意識してしまう傾向があります
怪我をして手当てをした後、「痛いなぁ」と思いながらも他のことをしていたら、案外気が紛れて、いつの間にか忘れてしまっている。なんてことがありますよね。
でも逆に、「痛いのなくならないかなぁ」と怪我のことばかりを気にしていると、痛みが消えないどころか、どんどん強くなっていったりします。
心も同じで、否定すればするほど、その対象に注意が集中して、嫌な気持ちがどんどん大きくなってしまうのです。

そしてもうひとつは、否定は解決にも解消にもならないから
たとえば、大事にしていたお皿を割ってしまって落ち込んでいる時、こんな言葉をかけられたらどんな気持ちになるでしょう?

「自分が不注意だったんだから諦めなよ」
「形あるものはいつか壊れるんだから、いつまでも落ち込むなよ」
「くよくよしてるくらいなら、さっさと代わりの新しいの探して忘れなよ」

どれも、言っていること自体は間違っていないですが、落ち込んでいる時にかけてほしい言葉かといえば、微妙ですね。
頭ではその方がいいかな? と思ってもクヨクヨしてしまう自分に、余計に落ち込んだり、「なんでそんなこと言うの?」と、新たな怒りが湧いてくる人もいるかもしれません。

でもこういう言葉、自分に対しては結構向け勝ちじゃないでしょうか?

「落ち込んでても仕方ないんだからさっさと元気だしなよ」という、その通りなんだけど、そうできたら苦労してないよ! という言葉。
元気がない友達にはあまりかけないよね、ていう言葉も、自分には案外と無神経に浴びせていることがあります。
それで奮起できる時はいいかもしれません。
でも、そんな元気がない時は、落ち込んでいる友人に対するように、自分にも接してあげるといいと思います。

「そうか」
「それはしんどいね」
「うんうん、わかるよ」

誰でも、何かを解決する前に、解決するための力を取り戻すことが必要な時期があります。
気持ちが落ち込んで何もする気になれないときは、その気持ちを無理に押し込めず、そっと寄り添ってあげることも大切ではないでしょうか。

② 深呼吸する


不安なとき、辛いとき、怖いとき、怒っているときというのは、無意識のうちに、呼吸は浅くなりがちです。
こういった浅く、速い呼吸は、体にとっては「戦闘中」の合図なので、血圧や脈拍も上がって胸はドキドキして、放っておくと、余計に気持ちが落ち着かなくなる悪循環に陥ってしまいます。

そんなときは、深呼吸しましょう

座っていても、横になっていてもいいので、リラックスできる姿勢で。
お腹にそっと手を当てたら、そこが凹んでいくのを感じながら、鼻からゆっくり息を吐きましょう。
最後の細い息まで吐き切ったのを感じたら、お腹をゆるめて、胸いっぱい新鮮な空気が入ってくるのに任せます。
空気が満ち満ちたら、またゆっくりと吐き切りましょう。

このとき、なんとなく息が吸いにくいな、と感じたら、俯きがちの姿勢で知らず知らず、胸や肩周りが強張ってしまっていることが多いです。
そんなときは、まずは両手を組んでぐーんと伸びをしましょう
手から肩、体が一直線になって、床からまっすぐ伸びているのを感じながら、前後左右に体を動かして、両脇やお腹、背中も軽くほぐしてあげます。
そうしてまた、まっすぐ一直線に伸びたら、今度はそのままゆっくりと、顔を天井に向けましょう。
その姿勢で何度か深呼吸すると、息がスムーズに出入りする感じがわかると思います。
そのままうなじに手を当てて、首が真っ直ぐと伸びているのを感じながら、顎を引くようにして顔を正面に戻します。
(首が前に倒れた姿勢になっていると、それだけでも息がしにくくなります)
仕上げに、両肩に軽く指先を置いて、ゆっくり大きく肘を回して、肩周りをほぐします。
背中の後ろの肩甲骨がしっかり動いているのを感じましょう。

これで終わり。
胸郭がしっかり広がって、肺の隅々まで酸素が行き渡るようになったはずです。
こうやってからだのなかに深く呼吸ができる余白ができると、それだけで、心の中にもゆとりが生まれます

そして呼吸するときは、なるべく吸う息よりも、吐く息を意識するようにしましょう
人は焦っているときほど、吸う方ばかりに気を取られがちです。
上手く吐けていないくてスペースがなければ、吸えないのは当たり前なのに、吸えない、吸えない、とどんどん呼吸が浅く速くなって、息ができない、苦しい、となってしまう。
こういう過呼吸は、起こしてしまうととってもしんどいですが(経験談)、ゆっくりしっかり吐き切る、を意識していれば、まず大丈夫。

心にゆとりがないときは、からだをほぐして、いい姿勢でいい呼吸を
こうしてからだがリラックスするだけで、気持ちもだいぶ楽になります。

③ 30秒片付け・ちょこっと親切


からだだけでなく環境も、心に影響します。
限られた空間で過ごさなければいけない避難生活では、自分の思うに任せないところも多いですが、だからこそ、身の回りを少し整えてあげるだけでも、居心地の良さが変わります

たとえば、曲がって置かれて緊急持ち出しカバンを、真っ直ぐにしてあげるとか。
脱ぎ捨てた上着を、いつもより少し丁寧に畳んであげるとか。
1分もかからず出来るような、簡単なことがおススメです。

そうして余裕が出てきたら、周りの人にちょっと親切にしてあげるのもいいと思います

たとえば、立ち上がるのに苦労しているご年配がいたら、手を貸してお手伝いしてあげるとか。
暗い場所の移動で困っている人がいたら、明かりを持ってガイドしてあげるとか。
落ちていたゴミを拾ってあげるとか。

そうして何かをやってみたあとは、「いいじゃん」と、自分を思いっ切りほめてあげましょう
災害などで無力感を感じたとき、こういったささやかな自己効力感(自分はできるぞ、という気持ち)や、自己肯定感(自分は中々のもんだぞ、という気持ち)は大切です。
ちょっとしたことでも、今の状況をよくするために努力できる自分を、できることがある自分を、きちんと見つけて、評価してあげましょう。

④ 自分に質問してみる


いま、できることがなくて鬱々としているときは、いっそのこと、これから何をしたいのか・できるのかを、しっかり突き詰めてあげるのも良いと思います。

「今の状況をどうしたい?」
「そのためには、落ち着いたらまず何をしよう?」

自分にインタビューするつもりであれこれ質問して、漠然とした「何もできない」というモヤモヤが、実際には「何をしたい」という想いから来るものなのか、きちんと整理して。
そして「これをやろう」という計画に落とし込んであげましょう。
できないことを悩むより、やるべきことを考える方が建設的で、「自分仕事してる」感が味わえます。
なおかつ、これはちょっとした自分内会議ですので、意外といい感じに時間が潰れます。笑

ただし、被災状況のわからない家の片付けなど、現場の状況がわからないのに悶々と考え続けても結論でないよね〜、ということもあるので、その場合は
「わからないことは確認してからじゃないと決められない。そのとき考える!」と、ちゃんと終わりをつけるのも大切です。
悩むためではなく、かたちのないモヤモヤに具体性を与えてあげるための作業なので、あくまで仕事感覚、インタビュー感覚でいきましょう。

⑤ 番外


そしてこれは実行できる状況が限られますが、可能であれば、からだを動かすことと、モフモフと戯れることも、とってもいい気分転換、癒しになります。
貴重品の管理や安全に十分配慮した上で、軽いストレッチをしたり、ウォーキングをしたり。
ご自宅にワン様やらニャン様やらいらっしゃる方は、ケージの中では思う存分とはいかないとは思いますが、ささやかなジャレ合いを楽しんだり。
急に人の多い環境に連れてこられると、ストレスを感じるペットも少なくないと思うので、私のような独り身の場合は、他所宅のワンニャンを触らせていただくのは遠慮しなきゃなんだろうなぁ、と思ったりしますが。
まぁ、見てるだけでも癒されますよね……うん。

まとめ


現代は色々な娯楽があって、私たちは日頃は何も考えなくても、メディアを浴びて退屈や不安を紛らわすことができる環境にいます。
だからこそ、災害などで様々なリソースを奪われると、それだけで途端に心細くなってしまったり、自分自身の心をなだめる術を見つけられず、途方にくれてしまう部分もあります。

でも実のところ、外的な娯楽や情報の多くは、不安を消しているわけではなく、ただ紛らわしてくれているだけのものです。
自分自身の心と、心ひとつで向き合うのは、慣れないと尻込みするような恐さもあるけれど、本当はとても大切なこと。
こういった習慣は一度身につけると、非常時だけでなく、日々の暮らしの中でも、自分らしく生きていく助けになってくれます。

個人的に大切だな、と思うのは、自分の中に、自分のいいところにちゃんと目を向けて誉めてくれる自分を持つことです。
長いこと一緒にいると嫌なところばかり目についてね、というのは、親しい間柄でよく聞くセリフですが、自分自身とは1年365日24時間一緒にいるせいか、油断すると、減点法でダメ出しばかりになってしまう人が少なくないように思います。

ネガティブな気持ちのマネジメントについては、南海キャンディーズの山ちゃん(山里亮太さん)が書いた『天才はあきらめた』という本が、面白くて誰もが身近に感じられて勇気がもらえる、超のつく名著だと思っているのですが、ここで書かれているボスの知恵に「自信貯金」というものがあります。
山ちゃんが駆け出してまだ思うような成果があげられなかった時期、それでも挫けずに努力し続けるために、過去の自分が上手くできたこと、誉められたことを、彼はそれこそ小学校の時代まで遡って(笑)ノートに書き溜め、落ち込んだ時に「自分は大丈夫。自分ならできる」と自分を励ます土台にしていたそうです。
正直、リストの内容は面白すぎてアレなんですが……笑

怠け者でネガティブ思考な自分と一緒に、前を向いて走っていくための山ちゃんのノウハウの数々は、ホントマジでボスぱねぇっす! 参考になります! 俺も頑張ります!
という気分にさせてくれるのですが、まぁでも結局一番大事なのは、自分がちゃんと自分の味方でいてあげることなんだな、と思います。
これが中々難しいんだけどね。

……えーと、話が逸れまくりましたが。
非日常の大変な目にあって、自分は何もできなくて、ただただ気分が落ち込んで、というときは特に、自分がものすごくしょうもなく感じたりしますが。
みんな多かれ少なかれしょうもなくて、でも意外とその気になればすごいこともできて、でもやっぱり元気がないときは頑張れないものです。(結局どっちなん)
そんな自分が落ち込んで仕方ないときは、それも大事な相棒の一面なんだよ、と認めて、そっと寄り添ってあげましょう。

いまもどこかでしんどい思いをしている方が、少しでも穏やかな気持ちで明日を迎えられることを、祈っています。