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台風21号、でかいですね。
日本列島がすっぽり収まってしまうサイズ感は、いかな素人でも見た瞬間「ヤベェ……」と呟く迫力です。
そして買い出し・買い占め、中々ですね。
水が売り切れてたりするのを見て、「ていうか普段は備蓄してへんの?」と首を傾げてしまった私ですが、一人暮らしはじめたばかりの私だったら「してねぇよ!」と叫びそうな気がするので、まぁつまるところ人それぞれなのでしょう。
そして、備蓄してなかった頃の私が、本日の空っぽの陳列棚とか見たらきっと絶望の底に沈むんだろうな……
などと思ったので、そんな過去の己の肩をぽむ、と叩く気持ちで
「いやいや。何事も知識とやりようやで」
と、家にあるものでできる……というかむしろしておくべき、と個人的に思うあれこれをまとめてみます。
物の備え
まず、「仕事終わってスーパー行ったら棚が空っぽで何も買えんかった!」勢に。
ひとまず、落ち着いて家の中にあるものを確認してみましょう。
水
災害時、まず必要なのは、断水になってしまった場合の水の確保です。
最低限必要とされる水は、成人1日あたり2〜3L程度の飲料・調理用水。
スーパーで多くの人が買い求めるミネラルウォーターは、主にこのためのものですね。
そしてこれに加えて、生活用水もたくさん用意しておくと心強いです。
① 飲料水・調理用水
日本は高い浄水技術を持った国ですので、基本的に水道から出る水は飲めます。
安全基準は、ミネラルウォーターよりも水道水の方がむしろ高いくらい。
浄水せず、そのまま常温で汲み置いておいた水は、塩素の効果で3日程度は飲用できる状態が保たれます。
(日光に当たると塩素が分解・揮散してしまい、保存期間が短くなるので注意。逆に、カルキ臭を飛ばしたいときは半日〜1日日光に当ててあげると効果的です。)
というわけで、ミネラルウォーターが買えなかった人は、家にあるやかんや鍋に、水道水を汲み置いておきましょう。
私は普段、寝る前にブリタの浄水ポットと、電気ケトルにいっぱいいっぱい、水を汲み置く習慣にしています。
浄水ポットの水は、朝になったらマイボトルに詰めてそのまま職場へ。
電気ケトルの水は、洗面所のボウルにあけて寝起きの洗顔に使っています。
また、台風や地震で停電を警戒しているときは、これに加えて、空きペットボトルや伸縮性のあるタッパーに、水道水を詰めて冷凍庫で凍らせるようにしています。
これは、溶ければ飲用水として使えるのは勿論ですが、停電の時に冷蔵庫の上段に置いておくと、保冷剤として使うこともできるかな。という魂胆です。
② 生活用水
生活用水はなくても死なないけど、あった方が断然心穏やかに過ごせると思います。
トイレの水を流したり、汚れ物を手洗いしたり、汗を流したり……
衛生的に過ごすのに、水は不可欠のアイテムですね。
地震の時は、高層階での貯水は危なくないだろうか?
と議論が分かれることもあるかと思いますが、台風の時は後に述べる下水逆流防止の観点でも、貯水しておいて悪いことはなさそうです。
一番の王道は、やっぱりお風呂。
湯船のサイズにもよりますが、ここだけで大体180Lもの水が貯めておけます。
他にも、ポリタンクやタライなどをお持ちの場合は、こう行ったところに貯めておくのもgood。
いざというとき水嚢として使えるように、40Lくらいの大きなゴミ袋に貯めておくのもいいです。
なのでまずは、早めにお風呂に入って、綺麗に掃除して、湯船に水を張っておきましょう。
もし使わなかったら、洗濯や、トイレを流すのに使えばokです。
食料
命を繋ぐ、という意味では、実のところ1週間かそこら食べられなくても、人間死にません。
でも、被災して元気がないときにお腹が減ったら、なおのこと元気は出ないですよね。
そんなわけで、私は日頃から常温で長期保存可能なものを備蓄していますが、特別防災食品を買い込んでいるわけではありません。
グラノーラ、オートミール、クラッカー、チキンラーメン(おやつ代わりにそのままバリバリ食べるのが好きやってんw)、ツナ缶、鯖缶、焼き鳥缶、納豆(基本的に賞味期限切れても長いこと食べられる)、甘酒、アーモンドミルクetc...
温めなくても美味しく食べられて、食べ慣れているものは、非常時にはありがたい存在です。
スーパーでこれといったものが買えなかった人は、自宅の在庫確認も兼ねて、一度どんな食料品があるか確認してみるのもありだと思いますよ。
そして、有事の備えとしてするのはまず、ご飯を炊いておくこと。
普段からお鍋でまとめて2合炊いて、残った分は冷凍している我が家。
レンジが使えなくても、冷凍ご飯は室温に置いておけば自然解凍されます。
食べる時はそのままだとボソボソするので、水で軽く洗ってぬめりをとり、水をかけて冷やし茶漬けに。
これは、食欲のない夏場によくやっていたのですが、浅漬けにしたお野菜や梅干し、塩昆布などと一緒にサラサラっと頂くのが、中々おいしいです。
好みは分かれるかもですが。笑
そして、火を通さないと食べられない食材、常温だと腐ってしまう食材は、冷えても美味しいお弁当メニューにして、保存しておきます。
こうしておけば、いざ、電気・ガス・水道が止まっても食べられますし、何事もなかったら、普通に翌日のご飯になります。
電気・明かり
懐中電灯を持っていない方がいるのかはわかりませんが、もし、いざという時の明かりが調達できなかったよ、という方がいれば、とにかくスマホやガラケー、モバイルバッテリー、タブレット、デジカメ……
家にある色んな電化製品を充電しておきましょう。
そして、いざというときすぐに手に取れるように、袋などに入れて枕元に。
家の備え
買い出し云々からは話が逸れますが、家自体の備えも大事です。
2018年の大阪の台風でも色々あったので、その時の教訓も活かしつつ整理してみます。
窓
今回の21号もそうですが、風が強い台風は物が飛んできたり、台風自体の風速で窓が割れることがあります。
本当は窓の外にシャッターがあれば最強ですが、なければ仕方なし。
飛散したガラスで怪我をしないように、可能であれば窓の内側をビニールや段ボールでカバーし、カーテンは締めておきましょう。
貼り付けには養生テープがあれば後で剥がしやすいですが、なければガムテープでもok。
ガムテープはマスキングテープの上から貼って剥がしやすくするもよし。
粘着成分が残っても、油(食用油とかハンドクリームとか)塗って10分ほど置いておいたらトゥルンと剥がれるので、あとはアルコールとかで油分を拭き取れば問題なしです。(ガムテの粘着成分は油性なので、油で溶けます)
基本的に、突風で割れたガラスは揚力の関係で部屋の外側に飛び散るのが一般的ですが、まぁ、安心のため。
割れたガラスの飛散防止にテープを貼る方もいらっしゃいますが、個人的にはFEMAのハリケーン対策についての見解を参考にしています。
要約すると、テープを貼ってもほとんど強度は出ないし、飛び散る破片に対する保護にもならんし、窓にテープ貼っても時間と労力の無駄だよ。それよかシャッターつけようぜ。
という内容。
あと個人的には、よくあるイギリス国旗みたいな米字張りって、せっかく面に分散してる力が中心部に集中しちゃう張り方なので、むしろ強度落としそうだなぁ……という気がしています。
ともあれ、この辺は風で窓が割れたときの話。
昨年の大阪の台風では、剥がれたトタン屋根が空高くを待っていたり、一夜明けたらどこから飛んできたのかわからない折れた大木が道の真ん中に転がっていたりして、これがぶつかったらどんな窓の防護もひとたまりもありません。
なので一番大切なのは、台風が通過している最中はなるべく窓から離れて過ごすことだと思います。
ベランダ
ベランダからは当然、飛ばされると危ないものは撤去しておきましょう。
物干し竿は室内にしまうか、無理なら、飛ばされないように床に転がしておきます。
鉢植えやスリッパ、布団叩きなども、部屋の中に仕舞いましょう。(全部、去年の台風で我が家のベランダに飛んできたものです)
そして、意外と大事なのは排水溝の掃除。
集中的に雨が降った際、排水溝にゴミが詰まって流れが悪くなっていると、ベランダがあっという間に水浸しになって、部屋の構造によってはあっけなく浸水します。
暴風域に入る前に、豪雨が来る前に、排水溝の掃除。ぜひやっておきましょう。
下水対策
これは台風や集中豪雨の時、1階や2階に住んでいる方に限定される話ですが、大事な対策です。
台風や集中豪雨で下水に一気に水が流れ込むと、下水道の圧が上がり、排水溝から下水が逆流してくることがあります。
排水溝から「ゴボゴボ」と不穏な音がし出したら要注意。
こんな時に役に立つのが、生活用水の項でお話しした水嚢です。
ずっしり重たい水の袋で排水溝を塞ぐことで、逆流を防ぎます。
浴槽は栓をして水を貯めておけば、その水の圧で十分に逆流が防げるので、一石二鳥ですね。
トイレ、浴室の排水溝、洗面台、洗濯機の排水溝、シンクなど。
塞ぎっぱなしにしておくと不便になりますが、いざという時きちんと対応できるよう、事前に確認と準備をしておくことをお勧めします。
掃除、洗い物、洗濯
これは余力があれば、ですが、電気や水が来なくなったときのために、溜まった洗い物や洗濯があれば、済ませておくのがベターです。
余力があればで良いと思いますが。
調べておく、決めておく
そして、今回だけでなく、これからも含めたいざという時のために、避難経路や連絡先の確認、非常時の過ごし方の確認をしておくのも、大切な備えです。
必要度の高い情報は、プリントアウトしたり、メモとして書き出しておくと、いざという時に余計な電力消費を避けられます。
ハザードマップ、避難場所の確認
「ハザードマップ+お住いの市区」で検索すると、その地域のハザードマップと避難場所が出てきます。
最低限、最寄りの避難場所や避難経路を確認、メモして、ご家族とも共有しておきましょう。
マップをプリントして、避難経路を何パターンか書き込んでおいたり、スマホで写真に撮ってすぐに開けるフォルダに置いておいすると、いざというとき落ち着いて対応できます。
ご家族との情報共有は、LINEのノートも便利だと思います。
連絡手段:災害伝言ダイヤルの確認
緊急時の連絡手段も大切です。
停電時はスマホのバッテリーにも神経質になりますので、個々人と連絡を取らずに、お互いの安否を確認できる手段を把握しておくことが重要です。
① 災害伝言ダイヤル
昔からあるけど、ちゃんと知らないといざというとき使いこなせない災害用インフラ。
以下に簡単に使い方をまとめておきます。
伝言を録音するとき
- 「171」にダイヤルする
- 「1」を押す
- 自宅の電話番号を入力
- 「1」「#」を押す(録音開始) - 録音する(30秒)
- 「9」「#」を押す(録音完了)
伝言を再生するとき
- 「171」にダイヤルする
- 「2」を押す
- 被災地の方の電話番号を市外局番から入力
- 「1」「#」を押す
- 再生が始まる
「171」にダイヤルすると案内が流れるので、基本的にはとにかくこの番号を知って、覚えておくことが最重要です。
伝言の保存期間は48時間。
複数の連絡先がある方は、どの連絡先で吹き込むかなど、身近な人と事前確認をしておくといいと思います。
② LINE
LINEは、311発生当時はまだ開発中だったこともあり、社員の方達は、災害時のホットラインとして役立つように、ということを強く意識してサービス開発を行なっていたそうです。
家族や仲間内の緊急連絡網として、グループトークが使えるのはもちろんですが、プロフィール欄から編集できる「ステータスメッセージ」を、LINEで友達になっている人全員への安否や状況を伝える手段として使うのは、なるほど、とおもいました。
ステータスメッセージに「現況+記入した日付」という形でメッセージを残しておくのは、効果的な連絡手段かもしれませんね。
また、大規模災害の発生時のみ、自動で表示される機能もあるそうです。
改めて調べてみたら知らない機能ばかりだったので、皆さんもこの機会に確認しておくといいと思いますよ。
災害時に役立つLINEの活用方法
ラジオ
とてもささやかなことですが、我が家ではラジオの周波数をメモ帳に書いて、非常用のラジオと一緒に保管しています。
これでネットが使えない時もちょっと安心。
気がかりは、我が家ではラジオ大阪の電波の入りがイマイチで、スマホのradikoが使えないとオールナイトニッポンも聞けないかもしれないことです……(何の話)
災害時の過ごし方
災害時のノウハウも、知っておいて損のない情報が色々とあります。
防災ブック「東京防災」
インターネット上から誰でもアクセスできる東京防災。
必要な情報がイラスト付きでコンパクトにまとまっているので、なかなか便利です。
私は全ページのPDFをダウンロードしてタブレットに入れている他、「もしもマニュアル」はすぐ使えるように、印刷して緊急持ち出しカバンに入れています。
緊急時の避難についてや、簡易トイレの作り方、連絡手段、怪我の対応など、色々な情報がまとまっています。
各社サイトの情報
また、自宅設備の災害時の使い方については、やっぱり各社サイトが詳しいです。
例えば断水時のトイレの流し方は、「東京防災」でもふれられていましたが、具体的に必要な水の量や流し方は、やっぱりTOTOさんのサイトが詳しかったです。
TOTO:断水時のトイレの使用(洗浄方法)について
こちらのサイトでは最後にお手本動画もあったので、見ながら練習しちゃいました。
ポイントとしては、十分な量の水を使うこと。サイトによると
バケツ1杯分(6~8L程度)の水を、水飛びに注意しながら一気に流しこんで下さい。
さらに静かに3~4Lの水を流して下さい。
排水管の途中に汚物が停滞する事を防ぐため、2~3回に一度は、多めの水(10~12L)を流してください。
とのこと。
やっぱり、生活用水の備蓄は大事ですね。
まとめ
書き始めたら長くなるのは悪い癖ですね。(^^;)
ともあれ、どれだけの商品を買い占めたかよりも、どれだけ適切な知識と危機感を持てているかの方が、防災においてずっと大切なことだと思います。
私のように、仕事終わってスーパー行ったらすっからかんだったよ、勢の方も、自宅でできる十分な備えをして乗り切りましょう。
■おすすめ本
暮らしに寄り添うクロワッサンらしく、日常生活の家づくりから、「どういうことを意識するのが防災につながるのか?」という、「備え」の部分についてとてもしっかりまとめてくれている良書。
非常時の対応についても勿論ふれられていますが、いざという時のためにちゃんと備えないとな、と思っている人には、すぐにはじめやすい暮らしの工夫が多くて参考になると思います。
今回の台風でわたわたしてしまった人は、ぜひ一度手にとってみて下さい。