ゼロ・ウェイストやプラスチック・フリーに興味を持って生活していると、環境を意識する人たちの中で、プラント・ベースな食生活へ移行する動きがあることが見えてきます。
プラント・ベースな食生活(プラント・ベース・ダイエット)というのは言葉の通り、食生活の基盤を、菜食にすること。
ビタミンやミネラルだけでなく、脂質やタンパク質といった栄養素も、動物性の食品でなく、植物性のものから摂取しなければならないため、継続していくためには豆類などの積極的な摂取が必要となります。
特に大豆は、多くの種類の必須アミノ酸を含んでおり、プラント・ベースな食卓において、とても重要な役割を担っています。
そんなわけで、最近プラント・ベース・ダイエットに興味を持っていた私も、お肉や卵、牛乳などの消費を減らして、足りない分のタンパクを補うべく、大豆製品の消費を増やしていました。
……ところがどうにも、体調が悪い。
加熱した豆腐はまだ良いのですが、冷や奴や豆腐サラダを食べると、どうも胃が重くて身体がだるい。
食べ過ぎたかな?
なんて思う片隅で、「そういえば前から、豆乳飲料とか飲んだ後は妙にだるーくねむーくなるよな……あの感じに似てるよな……」と考えてもいたんですね。
そして本日。
カフェオレに入れた無調整豆乳に、KOされました。
これは、やっぱり、やっぱり……恐れていたアレか〜!!泣
ということで、同じような人がいないとも限らないので、まとめます。
豆乳アレルギーって何?
「豆乳アレルギー」で検索すると、すぐに2013年のこんなニュース記事が出てきました。
→ 大豆がOKな人も豆乳でのアレルギー症状に注意 -国民生活センターが呼びかけ
こちらを参考にしつつ、整理していきましょう。
食物アレルギーも色々
食物アレルギーというと、小さいお子さんがなるイメージがあるかもしれません。
卵とか、牛乳とか、そばとか、小さい頃から食べられなくて、大人になるにつれて大丈夫になっていったり、中には大人になっても食べられないままのものがあったり。
これは多くは、クラス1アレルギーというタイプに分類されるアレルギーで、食べたら症状を起こす食べ物、そのものに反応する抗体を身体の中に持っていることで起こります。
一方で、クラス2アレルギーに分類される食品アレルギーもあります。
これは、花粉症の患者さん、つまり花粉に反応する抗体を持っている人が、果物や大豆などの特定の食べ物を摂取した時に生じるアレルギーです。
このアレルギーは、口の中や喉の痒み・イガイガ感などで生じることが多いため、口腔アレルギー症とも呼ばれています。
口腔アレルギー症
口腔アレルギー症はカバノキ科(シラカバ、ハンノキなど)の花粉症がある人で発症するケースが多いことが知られています。
カバノキ科の花粉症は、カバノキ科の花粉に含まれているPR-10(Pathogenesis-related protein 10)という物質に対する抗体を持つことで起こるとされています。
口腔アレルギー症は、食べ物に含まれている、PR-10に似たカタチのタンパクに対して、抗体が間違って反応してしまうことで起こります。(こういうのを交叉反応といいます)
アレルギーを起こす可能性のある食品は、以下の通り
- バラ科:リンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、ビワなど
- セリ科:セロリ、ニンジンなど
- ナス科:ジャガイモ、トマトなど
- マタタビ科:キウイフルーツなど
- ウルシ科:マンゴーなど
- マメ科:大豆
スギやヒノキの花粉でも、それぞれ対応する食品があるので、気になる心当たりがある人は調べてみると良いかもしれません。
交叉アレルギー反応は、「この花粉症があればこの食べ物で必ずアレルギーが起こる」というものではありません。
しかし、口腔アレルギー症は成人女性での発症が多く、昨日までは食べても何ともなかったものでも、ある日突然アレルギー症状を起こしてしまうことがあり得るのが困ったところです。
とはいえ、ハンノキ花粉症がなく、これまで豆乳などを問題なく摂取できていた人は、通常これから先も豆乳アレルギーを起こすことはありませんので、ご安心下さい。
豆乳アレルギー
ここまでで、大豆でアレルギーを生じる人がいることはわかりました。
でもなぜ、「豆乳アレルギー」と、豆乳だけ特別扱いされるのか?
問題は、抗原性の強さにあります。
抗原性の強さは、アレルギーを起こす抗体が、どれくらい反応しやすいカタチをしているかに左右されます。
一般的に、生のままの加工されていない食品は、抗原性が強いことが多いです。
お子さんがいらっしゃるご家庭では、固ゆでにしたゆで卵の黄身から少しずつ、卵を食べさせるように教わったご経験がおありかもしれません。
あれは、加熱された食品の方が抗原性が低く、アレルギー症状を起こしにくいから。
アレルギーの元になる抗原というのは、タンパク質でできているので、熱が加わるとカタチが変わって、悪さをしにくくなるのですね。
(抗原と抗体は、鍵と鍵穴のような関係なので、どちらかの形が変わってしまうと反応しなくなります)
大豆に当てはめて考えてみましょう。
お醤油、お味噌、納豆などの食品は、大豆を加熱した上で、さらに発酵させています。
がっつり加工されています。
これだけ加工されると、抗原も相当にカタチが変わってしまうので、これらの食品でアレルギーを起こすことはきわめて稀です。
続いて、お豆腐、調製豆乳、豆乳飲料、無調整豆乳。
これらはいずれも、製造の過程で凝固のため、あるいは殺菌のために加熱されています。
なので、それなりに抗原は変形しているはずですが、お味噌などの加工食品よりは抗原性が残っています。
特に豆乳は、豆腐よりも加熱時間が短く、液体なので、より抗原性が高い食品。
なので、他の大豆食品はダメでも、豆乳ではアレルギーを起こしてしまう人がいるのです。
口腔アレルギー症の症状
豆乳に限らず、アレルギー源となる食品を食べると、直後から30分程度の間に、色々な症状が出てきます。
典型的には名前の通り、口の中のかゆみや違和感を生じることが多いですが、アレルギー反応が全身におよぶと、口から離れた皮膚や内臓にも症状が出たり。
更には稀ですが、アナフィラキシーショックを起こすこともあるようです。
参った。
- 口周りの症状:唇や口の中、喉のかゆみ・ヒリヒリ感・腫れなど
- 顔面・皮膚の症状:かゆみ、赤み、蕁麻疹など
- 鼻の症状:くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど
- 眼の症状:かゆみ、まぶたの腫れなど
- 胃腸の症状:腹痛、吐き気・嘔吐、下痢など
- 全身症状:喘息発作、アナフィラキシー(血圧低下、呼吸困難、意識障害etc.)
ケースレポート:私の体験談
で、ここからは私の場合のおはなし。
完全に蛇足ですが、似たような心当たりがおありの方には、多少は参考になるかもしれません。
「りんごを食べると歯がゆるい」
子供の頃は、食物アレルギーと縁のない人間だと思っていました。
小さい頃から謎のアレルギー性鼻炎があって、スギやヒノキの時期を過ぎても鼻をグズグズ言わせていた記憶はありますが、食事の制限とは無縁。
気楽なもんです。
ただ思い返すと、りんごを食べる度に歯が浮くような、口の中全体がむず痒いような違和感があって、その度に「歯がゆるい〜」と訴えては、なんだそりゃ、と親に笑われていました。
今ならわかります。
りんごはバラ科の果物。ハンノキ花粉との相性ばっちりです。
関西の花粉は激しいのう
大学に進学して、中部地区から関西に引っ越しました。
その春から、花粉症が劇的に悪化しました。
鼻アレルギー診療ガイドラインなる資料をみると、アレルギー性鼻炎患者に占めるハンノキ科花粉症の割合は、東海では9.3%に対して、近畿では23.0%。
……まぁつまり、そういうことかな、と。
さくらんぼアレルギー
大学進学後しばらくして。
ある日、先輩がご実家から届いたというさくらんぼをお裾分けしてくれました。
可愛らしいさくらんぼ。
普段は果物なんて買うお金もなかったので、嬉しかったなぁ。
喜んで食べて……そして吐きました。(ずーん……)
吐いた後も、胃は痛いし、身体はだるいし、へんなブツブツは出てくるし。
このへんで、何かおかしくね? と気づき、病院に赴きます。
そしてめでたく判明。
「アレルギーだね」
まぁつまり、前半部の話、私が妙に詳しかったのは、そういうことです。
やれやれ。
我がアレルギーの現在地
ちなみに、私のアレルギーの現状をまとめますと。
- 花粉症:1月から5月までは大体死んでる。薬で眠いのかと思って薬をやめても花粉症で眠い。
- 果物:加熱すれば割と大丈夫。さくらんぼ、びわは生は無理。モモ、キウイ、マンゴーも体調悪いと怪しい。
- 野菜:セロリは無理。じゃがいもも調子が悪いと加熱しても吐く(昔は芽の除去が不十分でソラニンにやられてるのかと思ってた……)
- 甲殻類:カニは無理。エビは加熱済みなら割といける。イカスミは大丈夫だと思ってたけど去年タピオカミルクティー飲んだら喉がめっちゃ痒くなったからやや警戒気味。
花粉症の時期になると酷くなったり、体調悪いときも酷くなったりと、調子によってムラがあります。
アレルギーがあるものも、しっかり加熱してあったり、少量だったら食べられたりするので、今のところ日常生活でめちゃくちゃ困ることはないかなぁ。
ただ、一度アレルギー症状が出ると抗原に対して過敏になるらしく、普段はアレルギーが出ない程度の量や調理法でもアレルギーが出たりするので、そのタイミングではあまり上にあるものは口にしないように気をつけています。
個人的には、トマトが食べられなくなったら悲しいので、トマトさんには無事でいてほしい。
まとめ
大豆という、日本人にとって身近な食品で起こるアレルギーがあること。
大人になってから発症するアレルギーがあること。
ご存知なかった方にも、この機会に知って頂けたら嬉しいです。
特に豆乳のアレルギーは、これまで納豆や豆腐を問題なく食べられていた人でも起こり得るため、これから豆乳生活をはじめる人は、最初は少量から試してみるのが安全です。
口や喉の違和感、蕁麻疹、息苦しさなど、気になる症状が出てきた場合は、無理せずすぐに病院で相談しましょう。
ではでは、健康的なエコライフを〜