過ごしやすい夏を期待したのも束の間、今年も蓋を開けてみれば猛烈な暑さが続いています。
そこで今日は、熱中症対策のための適切な水分補給について整理しておこうと思います。
※ 持病に関係して、水分・塩分・糖分等の摂取について指示を受けている方は、医師の指導を守って下さい。疑問がある場合は、担当の先生にご相談されることをお勧めします。
目次
熱中症予防には適切な水分・塩分補給が大切
最近は熱中症予防についての知識が広まって、水分だけでなく塩分の摂取も心がけている人が増えています。
水ばかり取りすぎないように、と注意されるのは、人間の体液にも塩分が含まれているから。(生理食塩水、という言葉は聞いたことのある人も多いのでは)
汗を舐めるとしょっぱいことからもわかるように、汗をかいたときには当然水分だけでなく、塩分も一緒に失われます。
ここで、水だけを大量に摂取するとどうなるか?
体液の塩分濃度が薄まると、これはこれで体にとっては危ない状態なので、体は
①これ以上水分を取り込まないようにする → 喉が渇かなくなる
②余分な水分を追い出そうとする → 尿を排泄して水を追い出そうとする
結果、せっかく水分補給をしたのに更に脱水になってしまう、という、中々ヤバめな状態へと向かっていきます。
ヤバくてヤヴァイ。
厚生労働省と日本体育協会が熱中症対策として推奨している飲料の塩分濃度は0.1~0.2%。 (ナトリウム量でいうと100mℓ中40~80mg)
ポカリスエットしかりアクエリアスしかり、市販のスポーツドリンクは、大体この基準を満たしている訳ですが、じゃあ皆でごくごくスポーツドリンク飲みまくったらいいよな!
とばかりも言い切れないので、以下ではシチュエーション別に、もう少し具体的にまとめてみます。
運動中の場合
運動中は多量の汗をかくため、すばやく水分が吸収されるのが理想的。
そのために適切な温度は5〜15℃。
そして、1時間以上運動をする場合には、4〜8%の糖分が含まれる飲み物が推奨されています。
これは、腸から塩分が取り込まれるときに、一緒に糖分も取り込まれるから。
そしてこの塩分と糖分に引き寄せられるように、水分も一緒に取り込まれます。
だから、長時間の運動をする際は、程よく冷やした経口補水液やスポーツドリンクがおすすめ。
トライアスロンなど、更に長時間のハードな運動をする一部の人は、より積極的に塩分摂取をする必要があるらしいけれど。
一般的なところでは、スポーツドリンクは正に、名前の通りスポーツ時の強い味方。といって良いでしょう。
運動してないときは?
じゃあ、運動中以外の日々の場面ではどうか?
もちろん、水分補給という点に限っていえば、上でもふれたとおりスポーツドリンクはとても効率が良いです。
問題は、水分と一緒に取り込んでしまった糖分が、その人の代謝に見合っているかです。
人間が1日に排出する水分は、おおよそ2.5L。夏場は普段より汗をかくので更に増えます。
実際には私たちは、飲み物だけでなく食べ物からも水分を摂取していますが、それでも2L程度の水分は口にすることが多いと思います。
翻って、一般的なスポーツドリンクのカロリーは500mLあたり100kcal前後。
仮に2Lすべてをスポーツドリンクに置き換えると、これだけで400kcalの余分なカロリー摂取になります。
「でも、夏場は汗もいっぱいかいて代謝も上がってるし、ちょうどいいんじゃない?」
そう思っている方にぜひお伝えしたい。
夏場はむしろ、代謝落ちるんですよ……
順を追って考えてみましょう。
まず、夏に汗をかくのはなぜか。暑いからですよね。
体温が上がると、人は汗をかいて、汗が蒸発するときの気化熱で体温を下げようとします。
同時に、体が余計に温まらないように、熱生産は抑えられます。
つまり代謝がおちて、エネルギー消費は減ります。
一般的に、夏場の基礎代謝は冬の90%程度。
暑い中で外出や運動量が減る人も多いので、実際のカロリー総消費は更に低下する人も少なくないです。
そうした中で、甘いスポーツドリンクを飲み過ぎると、カロリーオーバーの原因になることもあります。
夏太り……だけであればまだ良いのですが、大量に清涼飲料水を飲み続けることで、糖尿病になってしまう例もあるので要注意です。
(そんなのレアケースでしょ? と思われるかもしれませんが、「ペットボトル症候群」なんて言葉があるくらいには一般的な事案です)
更に糖分は代謝されるのに多量のビタミンを必要とするので、取り過ぎは夏バテのもとでもあります。
じゃあ、どうするか?
面倒臭くない人は、自作してみるのも良いかもしれません。
水 500mL
塩 小さじ1(約6g)
レモンなどの果汁 お好みで
*スポーツ用ならこれに砂糖 大さじ2.5〜3(約22〜27g)を追加
この割合で、0.1%ちょっとの塩水(言い方……)が出来上がります。
飲んでみて「しょっぱい!」となるような濃さではありませんが、やっぱり「塩水だなぁ……」という感じなので、レモン果汁などで香り付けすると、口当たりが爽やかになって飲みやすいと思います。
ただし、果汁入りの飲料はただの水より傷みやすいので、食中毒対策のため高温環境は避けて、早めに飲み切ることをお勧めします。
また、クーラーが効いた環境でヒビを過ごしているしている人は、汗以外の不感蒸泄(呼吸や皮膚から知らず知らず失われていく水分)がメインになってくるので、実際には塩分摂取はもっと控えめでも問題がない場合が多いです。
そして、こういうのは面倒くさいなぁ……という人は。
水+塩分補給アイテム。
これでいきましょう。
(詳細は後述)
運動中以外で、脱水になりやすいシチュエーションは?
室内でも熱中症になるぞ!
ということが、最近ではよく知られるようになってきました。
熱中症は、熱せられた体が汗をかけないことや(脱水状態)、汗をかいても蒸発してくれないこと(高湿環境)で起こるので、適切な温度・湿度管理と、水分補給で予防する必要があります。
屋外でも室内でも、こまめに水を飲みましょう。
加えて例えば
①入浴後:800mL程度の多量の水分が一気に失われる。
②睡眠前後:長時間水分補給ができない。寝汗だけでもコップ1杯分の水分喪失。
などは、意識的な水分補給を心がけると良いと思います。
レス・ウェイスト的熱中症対策
で、ここからは最近の私の対策状況(というほど大したことはしていない)になりますので、ご興味のある方だけどうぞ。
水分補給はもちろんマイボトル! と言いたいところですが……
……あ、はい。おっしゃりたいことはわかります。
ばりばりペットボトルじゃねぇか。
て、うん。いや、そうなんすよ。はは……
しかし、いい訳をさせて頂くと、私、かれこれ15年以上の歴をもつペットボトルリユース族でして。(何それ)
マイボトルに憧れ手を出しては、パッキンが臭くなってきた……とか、中が洗いにくいけど透明じゃないから汚れ具合わからんくて不安……といった問題に突き当たり。
結局いつも空きペットボトルに水道水を詰めて出かける、という貧乏くさ庶民的な生活に舞い戻っていたわけです。
もちろんペットボトルは基本的に、メーカーサイドとしては1回での使い捨てを前提として作っている容器です。
なので、リユースする場合の衛生問題は自己責任。
もしも真似しようかな、と思われた方は、そのへんお気をつけ下さいね。
そしてどなたか、オシャレで便利でエシカルなマイボトルをご存知の方がいらっしゃいましたら、是非ぜひ教えてやって下さい。
塩飴? 塩タブレット? いえ、こちらにお世話になっています。
ちなみにペットボトルの中身はただの水です。
じゃあ塩分補給は何でしているか?
塩飴とか塩タブレットとか、最近は色々並んでますよね。
……でもスミマセン。そのへんは買ってみたことがないので、成分についてもよう知らんのです。
だって……
こういうプラスチックばりばり個包装の商品ばかりなので、ゆるプラスチックフリー、レス・ウェイストを志す身としては手が出せんのですよ……
そこで私はこちらです。
食卓でもお世話になっております。塩こん部長です。(こういう下らな過ぎるダジャレ……嫌いじゃないぜ)
隣のお菓子は何よ。とツッコまれそうですが、こいつは過去の遺物です。用があるのはパッケージです。
ここで既にお察しかもしれません。
塩昆布をお菓子の空袋(チャック付き)に詰めて持ち歩いています。
……ベリーのパッケージから黒く細長い塩昆布が出現するシュールさについては、そっと流して頂ければ幸いです。
お菓子の空袋は、もともとバックなどに入れて持ち運ぶことが想定されているので、100均のジップバックなどより丈夫で良いと思います。
リユースの方がごみも減るしね。
量としては、100gあたりの塩分量が20.3gなので、500mLの水に対して大体25g→小鉢いっぱいくらい食えよ。という話になるのですが。
まぁ、私はそんなに汗をかく環境で仕事をしていないので、主に屋外でたくさん汗をかいたときにちょこちょこ口にする程度で、元気に過ごしております。
……とか生温いことを言っていたら、こんなやつを見つけました。
ガチ感がすごい。
プラスチックフリーとかいってる場合じゃねぇ! て感じに職場が猛暑な人とかの命綱ですな。
まとめ
長くなりましたが、要は冒頭でもふれた通り、水分と塩分。
これにつきます。
いずれも必要量は人それぞれ、体や環境によって違いますが、適切な対策で、皆さん無事に夏を乗り切りましょう。